第17話 自宅待機期間③~入院までの生活

 次の入院までの約1か月間は、日々耳鳴りや頭痛をやり過ごしながら体力回復に専念し、なるべくネガティブなことを考えないように、目の前のことに集中して1日1日を過ごすようにしていた。

 症状は主に右側のこめかみにズキズキする痛みが出ることが多く、時々右目にもチクッと刺すような痛みがあった。最初のうちは見え方に特に変化はなかったが、右目の痛みや違和感が続いたあと、ある日モノが2重に見えることに気がついた。正面を見るときはほとんど気にならないのだが、視線を左右に動かすと視界が2重にブレてくる。手術の後遺症かな?と思いつつ、2回目の手術までは様子を見ることにした。

 それ以外、午前中は比較的耳鳴りも軽かったので、その間に家事や雑用をこなし、午後になって耳鳴りや頭痛が強くなると、頭のマッサージやストレッチをしてやり過ごすようにしていた。1日の大半を家の中で過ごすので時間はあるのだが、目を使うと頭痛を誘発するのでTVもほとんど見ず、本も読めず。やれることが限られているので、何だか自宅軟禁されているような窮屈な気分だった。

 食欲は退院後、日を追って少しずつ戻ったが、胃が小さくなったせいか量はあまり入らなかった。メニューは大体決まっていて、朝がサンドイッチに野菜ジュース、お昼が麺類やバナナヨーグルト、夕飯は味噌汁に少量のご飯とおかずという簡単な和食が中心。残暑が続いていたこともあって、おやつに少しずつアイスのMOWを食べるのを楽しみにしていた。発病前なら一度に1~2個食べても平気だったが、手術後は幸か不幸か一気に食べられなくなり、1個を2~3回に分けて食べていた。今思えば経済的(笑)。

 この待機期間中、落ちた体力を回復させるために、人生で初めて漢方薬も試してみた。高麗人参と血液がサラサラになるという「水蛭(スイテツ)」という漢方薬をブレンドした粉末を、毎朝起きてすぐ飲むようにしていた。味は苦くて微妙だったが、「良薬、口に苦し」と自分に納得させて飲み込む。さらに免疫力を高めるために、マヌカハニーのちょっと純度高めのものも毎日飲んで(舐めて)いた。退院時は血の気もなく体がヨレヨレだったが、1か月後にはほぼ普通の生活ができるまでに回復したので、きっと効果はあったと信じる。

 再入院までに一度、外部の検査機関にMRI検査を受けに行った。MRI検査のみを専門にしているところがあることを初めて知る。病院経由で予約済みだったので、決められた時間に行って検査をしてもらった。頭部のMRIが30分位?といつもより長く感じたが、動かないようにじっとガマンして、ガシャンガシャン鳴っている大音量をやり過ごす。結果は、直接病院宛てに郵送されるということだった。

 入院2週間前からは、毎朝食後に血液サラサラ薬を飲み始め、いよいよカウントダウンという気分になった。一度入院を体験しているので、準備も慌てず進めることができた。今回も長野の実家にいる姉に頼んでオンラインでお彼岸の墓参りをしたり、長女の誕生日祝いに家族で外食したり、大事なイベントは無事に済ませることができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る