第13話 術後の経過
翌日は、午前の診療開始早々にCT検査を受け、その結果が問題なしと確認が取れた時点でベッドに起き上がることが許可された。検査の行き帰りはストレッチャーに乗った状態だったが、背中があまりに痛いので、看護師さんに頼み込んで横向きに乗った状態で移動させてもらった。自由に身体を動かせることのありがたみを痛感する。その後、看護師さんと一緒にトイレに行き、下半身から尿管を抜いて自由の身になった。
微熱やだるさで食欲はあまりなかったが、丸一日以上絶食状態だったので、昼ご飯を楽しみにしていた。その日の昼ご飯のメニューは、確か「ソーメン」だったと思う。いつもなら大好きなソーメンなのだが、ふた口ぐらい食べただけでほとんど残してしまった。切実に「温かいもの」を食べたかったのである。朝から温かい味噌汁が食べたいなと期待していたので、ソーメンと聞いてちょっとがっかりした記憶がある。夜ご飯は待望の味噌汁が出てホッとした。
その後も入院中は食欲が戻らず、白米のご飯はほとんど手つかずで残してしまったが、温かいスープ類だけは完食していた。病院の食事はほとんどが和定食で、柔らかく煮込まれた野菜の副菜なども美味しくいただいたが、もしリクエストできるのだったら、白ご飯をおかゆに、スープ類を必須でつけてもらえたらありがたい。
術後は造影剤の影響なのか全身がだるく、ぐったりしていた。37~8度の微熱があり、鈍い頭痛も続いていたが、この頭痛に効果を発揮したのが「濡れタオル」だった。家では頭痛を軽減するために、タオルに保冷剤を挟んでハチマキのように頭に巻いていたが、病院ではそうもいかず、看護師さんに頼んでハンドタオルを水にぬらして絞ってもらい、額に当てていた。看護師さんがアイスノンを持ってきてくれたのだが、冷たすぎるのと額の曲線にフィットしない点が今ひとつ。その点「濡れタオル」は、丁度良い冷え具合で気持ちがよく、気になる頭痛も軽減した。退院してから調べたら、濡らしたタオルを当てる手当は「水湿布(みずしっぷ)」というのだそうである。水湿布、侮るべからず!
食事の再開後しばらくして、点滴が外された。看護師さんには「点滴の中に必要な栄養が入ってるので、食事が取れなくても大丈夫ですよ~」と言われていたが、口から物を食べるというそれだけで、不思議と生き返ったような気持ちになった。時間の経過とともに気持ちも落ち着き、ケータイのLINEで家族にも様子を知らせることができた。
術後2日目には、足の付け根にきつく貼られていたテープも簡易のものになり、回診に来られたA先生からシャワー室の利用許可も下りた。まだ身体がフラフラしていたので少し不安があったが、心の中で気合を入れ直してシャワーを使うことにする。
シャワー室は一人30分と時間が決められていて、ナースステーション前に置かれた時間割りのボードに自分で名前を記入するシステムになっていた。午後の空いている時間に予約を入れ、準備をする。入る前は若干貧血気味だったが、温かいシャワーを浴びて着替えると、血のめぐりが良くなったのか、気分もさっぱりして気力が回復した。病室に戻ってからは、ベッドの上でガチガチだった首や肩こり解消のストレッチやマッサージして過ごした。
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