第99話 光速突破への壁と3人のAI薫子
薫子は
昨日までの疲れ果てた薫子が嘘のようである。
「薫子ちゃん、またとんでもないことを思いついたな。
「そうなんですよ、教授、あいつが邪魔して光速に近づくと質量が無限大に近づいてそれ以上速度出せませんからね、反ダークマター作って一部を消し去ってやろうと思います。」
「おお。それはアガるな!松本零士の宇宙戦艦ヤマトのワープみたいな感じか、いや、ワームホールや空間折り畳みを使わないからちょっと違うな、ひたすら加速していく感じか。」
「そうですね、ロケットの先端付近から反ダークマターを放射してダークマターの一部を対消滅させて抵抗を減らし、ダークエネルギーも波動エネルギーの一種ですからロケットはダークエネルギーの膜で覆って保護します。
エネルギー源は一度対消滅を発生させれば連鎖的な対消滅エネルギーを補給できますからロケットが朽ちない限り半永久的にエネルギー補給は不要です。」
「おいおい、アガるじゃないか、マジでエネルギー無尽蔵で外宇宙に行けそうじゃないか、スプリング∞の実験は必要なんだろう?俺が許可と予算とってきてやるよ。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
新たな目標ができた薫子は実に生き生きとしていた。
「そうだ、今度大学の量子コンピュータを使った三者合議アルゴリズムのプロトタイプを開発したんだ、薫子ちゃん、試してみないか?」
仕組みはこうである。
薫子の脳をブレイン・マシンアップローディング技術を使い量子コンピュータ上にAI薫子を3人作成する。
設定は自由にできるが今回は
「研究者としての薫子」「9歳児としての薫子」3人目は悩んだ末に「データベースとしての薫子」とした。
ゼロ・ポイントフィールドに親和性の高い自分を無意識のうちに選んだのかもしれない。
ある課題を解決するためにそれぞれの立場で意見を出し合い、1秒間に10万回の会議を行い、24時間で86億4000万回の合議を行なって最適解を導き出すものである。
このシステムは後日AI市長、AI市民議会へと発展することとなる。
しかし、その間にも第三次世界大戦の足音はヒタヒタと近づいていた。
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