第88話 ゼロ・ポイントフィールドに愛されたフロイライン

 タコゲームをクリアした薫子は幼稚舎を無事に卒園し、明石市立航空宇宙大学附属小学校に進学した。

  

 薫子の学力は小学校入学前に小学校6年までのカリキュラム修了相当として認められて本来なら中学校へ飛び級もできるのだが、本人と母親の強い要望で同学年の同級生と同じクラスに入った。

 明石市航空宇宙大学附属学校では半分程度が小学部から自分の希望する授業を選択することができる。

 それでも同年代の友達ほど人生の宝物となることもよく理解していたのである。


 もちろん、学力差による他のクラスメイトによる妬み嫉み、これは必ず発生するものであるが、ゼロ・ポイントフィールド阿頼耶識からその仕組みについてすでに学んでいる薫子にとっては何の障害にもならないだろう。(先話、第68話 妬み嫉み僻みを参照)


 真の賢さとは一体どんなものなのだろう。

 もちろん他人を押し退け、他人より学業成績などで抜きん出てトップを取る、それも賢さの一つではある。

 しかしながら比較である以上、上には上があるものだしどこからが賢いのかボーダーラインが存在するわけででもない。


 たとえ世界一をとってもそれはその期間だけのものであり、天才と言われた将棋の羽生さんも藤井さんという後輩に追い上げられ抜きさられることになるかもしれない。


 英語では賢い、はクレバー又はスマート。


 どちらもほぼ同義語だが、薫子のイメージとしてはスマートsmartがピッタリすると思う。


 他人に打ち勝って蹴落とし上に立つのではなく、他人との関係の中で自分が友達にとって便利なスマートホンであるかのような、そんな賢さを持ち合わせているのである。


 ゼロ・ポイントフィールドに非常に親和性の高いという薫子の天賦の才能は自然体こそ最高の賢さであることを示していたのである。


 一方で薫子の知識に対する興味、貪欲さ、これが「同種のものを引き寄せる。」というゼロ・ポイントフィールドの特徴によってさらに知識を加速度的に引き寄せる。

 特定の分野についてはかつてのアインシュタインをも凌駕する能力を薫子は獲得しつつあった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る