第87話 エマの悲劇

 「いやー、やめて!離して!もういやー」

 エマの悲鳴が船内に響き渡る。

 周りの荒くれ者たちやクラスメイトの嘲笑の目が集まる。

 「思ってたのと違う!」とエマは叫ぶが後の祭りだった。


 その間にも荒くれ者たちやクラスメイトはどんどん糸を引っ張る。


 敵の抵抗は激烈を極めたが、今回は新兵器アルファタックル海人新型誘導器ぷりぷりタコカニが投入されている。敵はなすすべもなかった。


 蒼が見かねてタコに巻きつかれたエマを助ける。

 「大丈夫?」

 「大丈夫じゃない。」

 エマは泣きながらそう答えた。


 「よし、後で俺がこいつらを釜茹でにして仇を取ってやる、エマちゃん、一緒に食べよう。」


 「わたしは明石焼きがいい」


 こうして明石タコゲームは大漁で幕を閉じた。

 港で待ち構える保護者の目は爛々と輝き、その日の晩御飯がタコのフルコースになったことは想像に難くない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る