第68話 妬み嫉み僻み
そんなこんなで幼稚舎での薫子は何人もの男児を従えたさながら女王のようであった。
明るく快活で面倒見もいい薫子が慕われるのはある意味自然なことだったが、やむを得ないというのであろうか?女児グループからは煙たがられていた。
人間にはなぜ妬み嫉み僻み、こんなものが内包されているのか?
神様の意地悪なのだろうか?
これにも当然ながら合理的理由が存在する。
生物がこの妬みを無くしてしまうと競争に打ち勝って食べ物を勝ち取り生存するという行動を取らなくなる。
これは直ちに生死に関わることを意味する。
妬みを感じさせる人間の部位としては前部帯状回(前帯状皮質)であり、これは身体の痛みを感じさせる部位である。
人間の身体の一部が怪我をしたり病気にかかった時には痛みという不快感を与えることで養生や手当を促すのである。
ミリタリーの場面でも痛みを感じなくするという非人道的な人体実験が行われたことがあります。
コールドトミー術式と言い、痛覚を焼き切ることで痛みのシグナルを遮断し、兵士が腹を撃たれても腕が吹っ飛んでも痛みを感じないため平然と敵陣に突撃できるというもの。
恐ろしい話です。
妬み、それは人間が生きるための必須の痛みのシグナルなのです。
「薫子ちゃん、男の子にチヤホヤされて、なんかムカつく。」
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