第66話 虫かぶり姫

 薫子はそう言った王家の血筋と天才技術者の系譜に連なるものとして生まれた。


 薫子は生まれながらにして身の回りに漂い、阿頼耶識ゼロ・ポイントフィールドから流れ込んでくる波動エネルギーのことが大好きだった。

 異世界好きな作家諸氏ならそれは精霊とでも表現するのかもしれない。



 「あなたの名前はなんて言うの?」


 薫子は精霊のような「そのモノ」たちを知りたいと自然体で思うのである。


 そして薫子は探検に出かける。

 それは技術者の祖父の書庫であり、技術者である母の量子パソコン、タブレット、王女であった祖母の語る世界、明石市公務員の父の書斎にあるAI松浦明石市長の無数の政治シミュレーションの数々、そして脳内会議や脳内思考実験も数多く行い「そのモノ」たちの名前を調べたら性質や成り立ちを知り、まるで恋人のことをなんでも知りたいが如く何でも頭に吸い込ませ、同時に阿頼耶識ゼロ・ポイントフィールドにホログラム登録していく、もちろん必要な時に自由に読み出すことができる。

 これが記憶、知識の仕組みである。

 知識が無限に拡張できる仕組みというのはこうなっている。

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