第62話 薫子のスキル ギフト
薫子は生まれた時から
見るもの聞くもの感じるもの全て、原子核の周りを回る電子、側をすり抜けていくニュートリノ、また、隣の人間の思考の動きもゼロ・ポイントフィールドを介して「整然と」流れ込んでくる。
ゼロ・ポイントフィールドに愛された人間のうち大半はこの洪水のようなデータを処理しきれずに精神に異常をきたしてしまうか、逆にシャットアウトしてしまい二度と阿頼耶識を持つことができなくなってしまう。
一般の人間の脳は0.1秒より短い時間のデータは処理することができずほとんど「全て」に近い
薫子は幼稚舎の男児たちと争う中でもその目的の本質を見抜いてしまう。
男子達が幼稚だな?などとすら感じない。
ただ、本質を感じ取る全くの自然体のみである。
そしてより良い結果を導くための最適解の計算が自然に始まる。
男児たちの、人間としての興味という心の動きに照れ隠しのからかい、それを一瞬で理解し少し反発して見せることで男児の怒りの感情を誘発してストレスまで解放させる。
男児たちにストレスを感じさせないことも良くないし、ストレスを残す結果も良くないからである。
そして
男児が怒りに任せて手を出してくるが、その攻撃が薫子に当たることはない。
全ての手の
周囲の男児たちが友達に加勢して乱闘になりかけるが、当然それも計算内である。
もちろん攻撃の全てをかわしては怒りが増すこともわかっているのでダメージが最小限になる体さばきで何発かは受けてあげる。
そしてある程度男児のメンツが立つ状況を作った上で絶妙なタイミングで謝ったり
そして仲直りしてしまう。
これは異世界ファンタジーなどに登場する「魅了」スキルに近いものと言えるかもしれない。
薫子は自分で意識することなくこのスキルを使い、周りを虜にしていくのだ。
蒼くんはそのタイミングで仲裁に来るのだが、実はもう問題解決した後なのだ。
しかし薫子は蒼くんの手柄とする。
それが今後一番合理的な結果を導けるからだ。
そのあたりも欲がない、完全な自然体ということができるだろう。
少々人間味がないといえなくもないが、外観上は活発でありケンカもこなす快活少女というふうに
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