第61話 薫子・エバンスの数奇な生い立ち

 物心ついた時から薫子は周りの誰とも違っていた。


 祖父と祖母は若い頃に祖国コーネリアヘルモーズ大公国の政変により明石に亡命を余儀なくされ明石城近くの古びた洋館に住んでいた。

 父親は日本人で明石市職員、母親は地元の川嵜重工の技師として、明石市が借り上げた大久保町の住宅に住んでいる。


 容貌は祖母と母譲りの銀髪とエメラルドグリーンの瞳、周りからはかなり浮いていたかもしれない。

 神戸や大阪にはもう外国人は珍しくないが、明石市には外国人全てを合わせても3000人くらいしかいないからだ。

 

 特にアジア系でない、それも銀髪のエバンス一家は珍しかったことだろう。


 当然幼稚舎ようちしゃの頃は例によって珍しい容姿や銀髪をからかう子供が必ずいるものだ。


 さぞかしいじめられて、、、




 おおっと!薫子をからかいにかきた男児が言い負かされて泣きそうになっている。


 男の子が薫子を突き飛ばそうと手を出すが、3倍返しされている。

 男の子グループ数人相手に大乱闘となる。


 ここで必ず仲裁に入る男の子が一人いる。


 ベテラン読者の方はもうご存知とおもうが、蒼くんである。

 

 

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