満月と猫

大舞 神

第1話 満月と猫

深夜のコンビニに向かう。


目的はジャン〇の立ち読みだ。

毎週月曜日の深夜はコンビニに行って立ち読みをする。


時間が重要だ。

早過ぎてもジャン〇はないし、遅すぎても明日の講義がしんどい。


トゥルルル トゥルルル


「……」


電話がなっている。

歩道の先、公衆電話だ。

辺りは暗く、公衆電話ボックスを照らす明かりだけが強く感じた。

嫌な感じだ。


「こわ……」


ホラーは嫌いではないが、不気味だった。

綺麗な満月に雲がかかった。


ニャーオ


「ふぁkkつ!?」


コンビニに行くには公衆電話の横を通らなければいけない。

慎重にゆっくりと最大に警戒していたのに。

横のブロック塀の上に居た黒猫に気づかなかった。

心臓が飛び出る、それくらいに驚いた。

いやマジで。


「驚かせるなよ……」


満月のような綺麗な瞳をした黒猫は、俺の驚いた声でも逃げなかった。

ただただ上から地球を覗く月のように俺を見ているだけだ。


気づけば公衆電話は鳴りやんでいた。

幻聴だったのか?


「あほくさ……」


はやくジャン〇読んで寝よ。

俺は足早にコンビニへと向かった。


ピロロロロン ピロロロロン


「お客さん、ペットはいれないでー、困るよ」

常識でしょ?とコンビニスタッフに怒られた。

ちゃうねん。

勝手についてきただけなんだよ……。


「ありあしたー」


「……」


なんか廃棄のナゲット貰った。

俺が読んでる間ずっとモフモフしてたし、あの店員さん猫好きなのか。


「増えてるし……」


猫たちと月夜のお散歩。

なお勝手についてきているだけ。

触ろうとすると逃げる癖に。


「食べろ食べろ~」


公園。

ちぎって食べやすくしてあげた。


「どこまでついてくるんだよ?」


猫たちを引き連れて俺は帰っていた。


明日は1限からなのだ。


「?」


公衆電話ボックスを照らす明かりが点滅している。

どうしてそんなにホラーなんだ?

猫たちがいなかったら逃げていたかもしれない。


「どこ見てる?」


誰もいない場所を見つめられると怖いよ。

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満月と猫 大舞 神 @oomaigod

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