第2話 悪霊

「確認させて、手に意識を集中して気を集めそれを霊に流し込むんだっけ」


唯人は確認する。


「あぁ、それでヤツラは現世側との繋がりが薄くなっていき現世で存在が保てなくなる。」


「鬼って仁の言うあちら側の生き物なんじゃないの?なんでそんなこちら側の技を知ってるの?」


「一部の妖怪はどちらにもいるんだよ。ともかく早く外に出るんだな。奴らはもうすぐ侵入して来ちまうぞ。」



仁は唯人を急かす。


「わかったよ。」


唯人は意を決して扉を開く。




「あれがっ悪霊!?」




唯人の前にいたのはどう見ても普通の人間だ。しかし、仁が中にいるからだろうか、嫌な感覚を感じ取っていた。



「何突っ立ってんだ唯人。来るぞ。」


悪霊らはスライドするようにこちらへと近づいてくる。近くに来たそれらからはブツブツと何かつぶやいていた。その姿は非現実的な恐怖を孕んでいた。


「なっ!?」


唯人は反射的に手をそれらに対し突き出す。




「ゆ**s**い」




その手に触れた一体が光になり消えていく。


「やるじゃねぇか。俺の力を使ってるだけはあるな。なにしてんだ、まだ残ってるぞ」



仁は唯人に茶々を入れる。


唯人は何も返さずにすべてに触れていく。


「これで全部か?」


目に見えた悪霊はすべて光に変わった。


「遅かったじゃねぇか。」


「僕の中にいて何もしてない奴には言われたくないね」



そんな言い合いをしながら、村に最も近い駅に歩いていく。


「で今更だが、お前はなんでこんなド田舎に一人住んでんだ?」



「違うよ。ここは僕の祖父の家。最近亡くなっちゃって遺品整理で夏休みついでに来たんだ。」


「なるほどな。ちなみにあれが遺品が入ってるやつだろ?あのなか何かやばい奴が入ってるぞ。」



「えっ!?どれが?」


箱を開け確認すると。一つ違和感を感じる仮面があった。


「これだな。おそらく何かの妖怪の…おそらく面妖鬼のものだろう。」


「仲間?」


「いや、何度も争ったことがある。やつらは地味にしぶとい上に仮面を外してしまえばヤツラだとわからないから隠密性能も高い。つまり面倒ってやつだ。まぁ一応持っとけ、それの持ち主の面妖鬼に取り返されれば大変だ。」


「それ僕が追われない?」



唯人はしぶしぶだがその面を自分の持ち物の中に入れる。



「ほかの荷物は、隣駅の町にある祖母家に持っていく。」



「ちょうどよかった。俺はその町に用事があるんだ。」


「そうなんだね。明日ここを出るつもりだから、今日は最後に家を見回ってみようか。」

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