第10話 再戦、ジャイアントフラワー
「こんばんはー。新人ダンジョン配信者のサンです」
「美愛です!」
〈きちゃー!〉
〈うおおおおお!〉
〈ミアちゃんこんばんは!〉
〈サンちゃんは俺の嫁〉
「昨日魔物狩っているうちにレベル上がったので、今日はジャイアントフラワーを倒しに行きます」
「う、ジャイアントフラワー…」
〈エロ触手きたー!〉
〈うおおおおおお!〉
〈全裸待機余裕でした!〉
〈これは昨日に引き続きエッの予感!〉
残念だが今日はエロ展開は無いぞ。
美愛さんを前に出すと配信的に危なくなるのは分かった。
だから今日は後方支援として頑張ってもらう。
「頑張る!絶対健全な配信にするよ!」
〈はいフラグ〉
〈これは一級フラグ建築士〉
〈とりあえずパンツ脱いだ〉
〈全裸は流石に恥ずかしいので靴下を履きます〉
〈ここ変態しかいないの?〉
連日のエロ配信で登録者数は350人にまで増えた。
爆増だった。
お前らエロに釣られすぎだろ…。
登録者数と引き換えにコメント欄の治安とIQが著しく悪くなったが、やむなし。
せめて登録者数だけでも稼ごうと頭を切り替えた。
ーーーーーーーーーーーーー
名 前:サン
レベル:7
体 力:20(+5)
攻撃力:15
防御力:10
素早さ:23(+3)
魔 力:0/0
運 :24
S P :0
スキル:バウンド
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
名 前:ミア
レベル:7
体 力:15(+2)
攻撃力:15(+1)
防御力:15(+2)
素早さ:15(+2)
魔 力:22/22(+2)
運 :10
S P :0
スキル:火弾、連射
ーーーーーーーーーーーーー
「いました」
ジャイアントフラワーは以前遭遇した場所から少しだけ移動していた。
一応移動型のフロアボスだが、動きが遅いためほとんど位置固定みたいな魔物であった。
「ジャイアントフラワーの弱点は花の部分です。触手に攻撃してもダメージはありません」
「そうなんだ!」
「知らなかったんですか?一回戦ったはずでは?」
「魔物の情報なんて調べたことないよ?」
「ああ、そうですか…」
何とも言えない気持ちになった。
「じゃあ私が触手を引き付けるので、美愛さんは初めは隠れておいて、弱点を狙えそうになったら魔法で攻撃をお願いします」
「分かった!」
〈あれ?何か工口の香りがしなくなったぞ?〉
〈作戦がしっかりし過ぎている、もっと雑にするべき〉
〈とりあえず溶解液を浴びないか?〉
〈3chでもミアちゃんでもいい〉
〈溶解液を浴びようかい!〉
「よし、行きます!」
コメント欄は無視。
ジャイアントフラワーの前に立つと、10本の触手がウネウネと動いた。
私は軽くジャンプして攻撃準備をする。
(とりあえず何本か触手落とすか)
触手を攻撃してもダメージは無いが、先に何本か落とさないと向こうの手数に捕まってしまいそうだ。
「バウンド!」
襲い来る触手をダッシュで回避しながら敵の背後に回り込む。
この触手は土の下から生えている。
つまり、根本の位置は動かない。
「一本目!」
思いっきり斬りつけた。
が、両断には至らず。
〈攻撃力足りてないな〉
〈走る勢いを乗せて斬れよ〉
〈足止めたらダメか〉
〈流石にもう少し攻撃力欲しいな。もしくは攻撃系のスキル〉
斬られたジャイアントフラワーは奇声を発し、触手をまとめて寄越してきた。
「バウンド!」
スキル発動からの全力疾走で回避。
今の私の体力はアスリート級だ。
「バウンド!」
スキルで移動距離を稼ぎ、体力消費を更に減らす。
すれ違い様に触手を斬りつけると、今度は綺麗にぶった斬れた。
〈いいぞ!〉
〈それそれ!〉
〈スピード乗せればいける!〉
〈あと根本より中間くらいの方が細いっぽいな〉
〈なるほど〉
〈切断しやすいってことか〉
〈叡智なシーンまだ?〉
「バウンド!バウンド!」
2連続『バウンド』で方向転換。
触手を完全に置き去りにする。
「バウンド!」
3度目で触手に突っ込み、触手を切断。
これで残る触手は8本。
うち1本は半切れ状態。
体力はまだ持つ。
『バウンド』の1番強いところは発動に魔力もスタミナも消費しないところかもしれない。
「バウンド!バウンド!バウンド!」
1本!
2本!
3本!
残る触手は5本!
〈つえええ〉
〈つっよ〉
〈何かサン君だけで倒せそうじゃない?〉
〈レベル差とは〉
〈いやそろそろ体力が持たないはず〉
〈もう急所狙えんじゃね?〉
「火弾!」
触手を半分まで減らしたところで美愛さんの魔法が飛んできた。
真っ赤な花の中央に火の球が命中した。
「KISHAAAAAAAAA!!!」
「火弾!火弾!火弾!火弾!火弾!火弾!火弾!」
〈連射エグ〉
〈もう死んでるだろアレ〉
〈超燃えてて草〉
〈裸にされた恨みがこもってんな…〉
〈あ消えた〉
〈討伐おつ!〉
「レベル上がった!」
「私も上がりました!」
〈まじ!?〉
〈昨日レベル7になったばっかやん〉
〈格上ボス倒したからか〉
〈まじかよ、ちょっと俺も格上ボスに挑んでくる〉
〈おいおいおいあいつ4んだわ〉
〈※推奨レベルはちゃんと守りましょう〉
「う…でもSP+6…しょぼいよお…」
SPは+6が最低値だ。
ちなみに最高値は+10で、どうやってSPが決まるかは未だ分かっていない。
〈ミアちゃんどんまいw〉
〈あんま戦闘に参加してなかったからか?〉
〈その説はある〉
「私はSP+8で…あ、スキル増えてる!」
「えーいいなー!どんなスキル?」
「えっと…………」
…私が入手したスキルは『透視』だった。
〈なにぃ!?〉
〈透視って透視!?投資とか闘志じゃなく透視の透視!?〉
〈ガタッ!!〉
〈いいなー!〉
〈それっておっp見放題ってことですか!?〉
〈お巡りさんあいつです!〉
「…エッチ!」
「いやまだ使ってないんで…」
これは…もしかしてとんでもなく厄介なスキルを習得してしまったのでは?
と一瞬不安に思ったのだが、
〈※透視は生き物の身体を透かすことはできません〉
〈そうなの?〉
〈服は!?〉
〈※無理です〉
〈なんだ使えねえな〉
〈期待して損したわ〉
〈捨てろそんなゴミスキル〉
〈無能&無能&無能〉
「コメ欄の手の平返しが酷い…」
「なーんだ、服透けないんだ、良かったー」
「というか、壁も透けないんですけど」
服が透けないなら安心だなと思い、早速使ってみようとしているのだが、一向に視界に変化がない。
〈透視は魔力いるで〉
「あ、なるほど」
ということは私もついに魔力にステ振りをする時がきたのか。
「ドロップは…ただの魔石かあ。何かついてないなー」
「まあ、そんなポンポンレアドロップしませんよ」
「ちえー」
その後コメ欄の意見を参考にしながらステータスを割り振った。
ーーーーーーーーーーーーー
名 前:サン
レベル:8
体 力:20
攻撃力:20(+5)
防御力:10
素早さ:25(+2)
魔 力:1/1(+1)
運 :24
S P :0
スキル:バウンド、透視
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
名 前:ミア
レベル:8
体 力:15(+2)
攻撃力:18(+3)
防御力:15(+1)
素早さ:15
魔 力:17/25
運 :10
S P :0
スキル:火弾、連射
ーーーーーーーーーーーーー
〈で、エッチなシーンどこ?〉
〈いい加減諦めろ〉
〈でもよおシャンクス…!〉
〈胸が!!〉
〈クソみたいなワ●ピースやめろ〉
その後は休憩を挟んでから5層探索を再開した。
「透視!」
試しに『透視』を使ってみると、無機物の他に植物も透かして見ることができた。
透視範囲はかなり広範囲で、200メートルくらい先まで透かせて見れた。
視力自体も上がっている気がする。
「左に行くとゴブリン、右に行くとダンジョンウルフ、真っ直ぐ行った先には2体目のジャイアントフラワーが見えます」
「ええ、またジャイアントフラワーいんの!?」
〈ジャイアントフラワーだと!?〉
〈えちえち展開くるー?〉
〈え!?ここから入れる保険があるんですか!?〉
〈まだだ!まだ終わらんよ!〉
〈お前らさぁ…〉
「ちなみに魔物も透かせないようです。あ、透視切れた。効果時間は1、2分くらいか」
効果範囲は広いが効果時間は短い。
そんな感じの能力のようであった。
「結構使えそう?」
「かなり。ジャイアントフラワーの向こうに階段も見えました。探索には相当便利そうです」
ただ、発動に魔力を消費するという点は問題だ。
運24のせいで今でもステータスはカツカツ。
ここから魔力にも振り始めるとなると、防御力あたりを完全に捨てなければならないかもしれない。
まあ、後々考えていこう。
「…本当に服は透けない?」
「透けませんって…」
〈で、どこ行くんです?〉
〈ジャイアントフラワー一択!!!〉
美愛さんがジャイアントフラワーとゴブリンは嫌だと言うので、右のダンジョンウルフ狩りに向かった。
エッチな展開を期待するコメ欄からはブーイングが上がったが無視した。
何度も言うがUtubeでセンシティブ配信はアウトだ。
ダンジョンウルフなら服を剥かれるようなことも起こらないだろう。
「キャー!見ないで!」
そう思っていたのに、美愛さんはダンジョンウルフに転ばされてスカートが捲れてパンツを晒した。
〈見えた!〉
〈水色!〉
〈パンツですよ!パンツ!〉
〈ちょっと透けてない!?〉
〈何でそんな気合いの入ったパンツでダンジョンに?〉
〈勝負パンツってやつか〉
〈この後彼氏の家にでも行くんじゃね?〉
〈うっ、脳が…!〉
今後ダンジョン配信をする時はスカートは履かないように気を付けてください。
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