11−1
お風呂を終えた私達。
脱衣所で髪を乾かすと、愛華さんの部屋へと戻る。
愛華さんのスマホに何件かメッセージが来ていたみたいで。
確認している間、手持ち無沙汰だったのでぬいぐるみを抱きしめていた。
ぬいぐるみからは愛華さんの良い匂いがして、なんだか照れてしまっていると。
「ちょ、ちょっとむつき!」
と、スマホを見て驚いている愛華さん。
慌ててぬいぐるみを離すと、どうしたの…?のと尋ねる。
「あ、あのね!お姉ちゃんからのメッセージ読んでたんだけど!今度カフェでいろんな百合漫画とのコラボがあるんだって!それで今瀬ももの漫画も対象みたい!」
「ほ、ほんとに…!?」
「うん!これ見て!」
そう言うと愛華さんは私にスマホの画面を見せてくれる。
そこには、百瀬舞と表示されていて。
お姉さんの名前を初めて知ったのだけど。
今はそれよりも内容が気になってしまう。
その内容は、愛華さんの話していた通りで。
まだ予定段階だけど、夏休みの後半に実施されるそうで。
愛華さんと絶対行こうね!と約束をすると、気分は最高潮となり、百合漫画を語り合う。
はずだったのだけど。
愛華さんのスマホの着信音が鳴り、一旦お預けとなってしまう。
どうやら、まりさんからの電話の様で。
愛華さんがぷんぷん怒りながら電話に出ると、スピーカーにして話し出す。
「ちょっと!今せっかく盛り上がってたのに!なんの用よ!」
「んだよー!勉強進んでるか確認しようと電話したのに何怒ってんだよー!ってか盛り上がってたってなにしてたん?」
「そ、それはあれよ!勉強!今からむつきと勉強しようって盛り上がってたの!そうだよね!むつき!」
と慌てて本来とは違うことを伝えると、私に同意を求める愛華さん。
そんな愛華さんに苦笑いをしていると。
「んー?むつきちそこにいるのか?おーい!むつきちー!」
電話越しで、名前を呼ばれ。
「こ、こんばんは…!ま、まりさん…!」
慌てて挨拶をする。
「おー!ほんとにいた!ってことはマジで勉強してたのかー!邪魔してごめんなー!」
と謝るまりさんに、ほんとのことが言えず、苦笑いする。
「それで、勉強は大丈夫そうかー?」
「う、うん…!だ、大丈夫…!あ、愛華さんすごい頑張ってるから…!」
そう今度はほんとのことを伝えると。
「まじかー!あのバカ愛華がなー!むつきちやるじゃん!」
と、褒めてくれて照れてしまう私。
「ふふーん!あたしだってやれば出来るのよ!」
「いやそれむつきちのおかげじゃん?ってかどうやってやる気出させたん?」
と、尋ねるまりさんに、またほんとのことが言えず、焦っていると。
「まーいっか!これからはむつきちに任せれば良いし!バカ愛華をこれからも頼むな!」
まりさんにそう頼まれて。
私が返事をすると、愛華さんは嬉しそうにしてくれる。
それから今度はまりさんの方の勉強の話になる。
「ってかあんたこそ大丈夫なの?どうせ今日もバイトだったんでしょ?」
「おー!大丈夫大丈夫!なんせうちにはめぐるんがついてるからな!」
「あんたねー!あまりめぐるに迷惑かけるんじゃないわよ!」
「いいんだよー!うちら幼馴染だし!昔からこうだしなー!ってかお前こそむつきちに迷惑かけすぎるんじゃねーぞ!」
そう言ったまりさんに、うぐぐとなにも言えない愛華さん。
「っと!めぐるんとこ行かないとだから切るわー!バカ愛華にむつきちー!また明日なー!」
と言うまりさんに返事をすると通話が終わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます