11−2
「むつきー。迷惑だったら言ってねー?」
と落ち込む愛華さんに、迷惑じゃないから大丈夫…!と伝えると元気を取り戻す。
それから、私はふと気になったことを愛華さんに話し出す。
「ま、まりさんと花巻さんって幼馴染だったんだね…。」
「そうなの!百合漫画の王道の関係なのよあの二人!」
と、興奮する愛華さん。
私も同じく興奮してきて、しばらく幼馴染の百合トークで盛り上がる。
そして、落ち着いてくると。
「まぁ現実でそんなことってほとんどないよね…。まりとめぐるも百合漫画のようなことにはならなそうだし。」
愛華さんはそう言うと、深くため息を吐く。
たしかに、愛華さんの言う通りで。
「そ、そうだね…。」
と、返事をして苦笑いすることしか出来ないでいる。
「あ!勘違いしないでね!あたしが二人と友達なのはそういうの期待してるからじゃないからね!?」
「う、うん…!だ、大丈夫だよ…!」
「まぁ幼馴染って聞いた時はちょっと期待したけど…。」
と、言うと顔を背ける愛華さん。
「あ、愛華さん…!?」
「だってしょうがないじゃ〜ん!幼馴染とか期待しちゃうよ〜!」
「わ、私も幼馴染って聞いて…。ちょ、ちょっと期待しちゃった…。」
「むつきー!やっぱりむつきはあたしの最高の百合友だよー!」
愛華さんは私も同じことを考えていたことに喜ぶと、抱きしめてきて。
恥ずかしがりながらも、愛華さんが言ってくれたことが嬉しくて、ちょっとだけ抱き返す。
友達同士の行いをしたわけだけど、慣れていない私はドキドキしていると。
「むつき〜!むぎゅ〜!」
と、愛華さんにもっと強く抱きしめられてしまい。
さらにドキドキすることになってしまう。
やがて愛華さんが離すと、私も離して。
「え、えへへ。やりすぎたせいか暑くなってきちゃった。ちょっと飲み物取ってくるね!」
と、顔をパタパタとさせながら部屋を出て行く愛華さんを見送ると。
待っている間に、気持ちを落ち着けることにした。
少しすると、愛華さんがトレーを持って戻ってくる。
そこには、二人分の飲み物とプリンが乗っていて。
「むつきー!一緒に食べよ!」
と、嬉しそう笑う愛華さんとプリンを食べ始める。
「どうかなー?美味しい?」
「う、うん…!す、すごく美味しい…!こ、これってどこで買ったの…!?」
「買ったんじゃないよ〜!あたしが作ったんだ〜!」
「そ、そうだったんだ…!あ、愛華さんってほんとすごいね…!」
あまりの美味しさに、てっきり買った物だと思っていたけど。
そういえば、以前もらった手作りクッキーも美味しくて、納得するとそう伝える。
「えへへ〜!そんなことないよ〜!」
と、嬉しそうにプリンを食べている愛華さん。
料理もお菓子作りも上手で、かわいいし、コミュ力もあって。
尊敬の眼差しで見ていると。
「あー!こんな時間にプリン食べたら、もっとぷにぷにになっちゃうよって考えてたでしょ!」
と、勘違いをする愛華さん。
「そ、そんなこと考えてないよ…!?」
慌てて否定するのだけど。
「いいもーん!むつきにもいっぱい食べさせてぷにぷににさせてやるんだからー!」
と言うと、スプーンですくったプリンを私に食べさせようとする愛華さん。
また、食べさせ合いっこをすることとなり。
本来考えていたことは伝えらないのであった。
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