第3話 中堅

2階のステージは大量のぬいぐるみやガラスペン、雑貨などがあちらこちらに飾られていた。

「これは岡崎百貨店だ。うわー、よくできてるなぁ」

にぎやかに飾られたフロアーを眺めていると何か違和感を感じた。“なんだろう?なんか足りない感じがする”と小さなモヤモヤを感じていた。その時

「こんにちは」

「うわぁ!!」

3人の後ろから岡崎さんの声が聞こえ、大声を出して驚いてしまった

「岡崎さん、びっくりするから後ろからじゃなく前から出迎えてください」

「え?さっきからここに立って出迎えていたんですがスルーされちゃったんですけど」

「気配の消し方、半端ねぇ。ザキ、そんなことできるようになったの?」

褒めていないのに岡崎さんはなぜか照れ笑いを浮かべていた。

「岡崎さん、問題問題」

「あ、はい、えーっと、問題を3問出しますので答えてください」

「少なくない?」

「そうですね、問題をもう少し増やしましょう。とりあえず今は3問で」

ブッコローは手元の資料にメモを取る郁さんの手元が気になり少し覗こうとしたらスッとかわされてしまった。

「今から30秒で絵を描きますので何の絵か当ててください」

「絵?」

「よーい、スタート」

何か言おうとしたブッコローを無視しキッチンタイマーのスイッチを押し、絵を描き始めた。絵が下手なのにあえてやるとはクレイジーだなと思ったらピピピとタイマーのベルが鳴った

「これは何でしょう?」

「・・・・・ソフトクリーム」

「・・・・・もう一回、描き直します。よーい、スタート」

ショックだったのか少し声が小さくなっていた。最初に描いたものより今度は少し細長くなっていた。タイマーが鳴り描いた絵を見せた

「これは何でしょう?」

「聖火ランナーが持って走る聖火」

「あなた、いい加減にしなよ。ほんとはわかってるんでしょ?」

「だって、笑えるくらい下手なんだもん。ボケるのも大変よ。ガラスペンでしょ?」

「ひどい、わかってるんなら答えてくださいよ」

岡崎さんはからかわれていたことに気づき膨れていた。

「中堅のコーナーはイラスト問題にしないほうが・・・」

後ろにくっついている黒子が小声で話しかけた。黒子が話しかけるのだからよっぽどひどかったんだろう

「黒子が内容変えたほうがいいって。よっぽどお話にならないくらい下手なんでしょうね」

「また、ひどいこと言う・・・」

「だって下手なんだもん。郁さんもそう思うでしょ?」

「え!急に振らないでくださいよ」

「まぁまぁ、中身を変更ってことで考え直しましょう」

「ガラッと変えてくださいね。これじゃあ意地悪問題になるんで。もう次行っていい?」

「え!まだ2問ある」

「いや、もういいです。ボケるのが大変になりそうなんでやめます」

「まぁ、次もあるのでクリアしたということで」

岡崎さんは腑に落ちない表情を浮かべていた。

「岡崎さん、大人の都合ってことで。そんな顔しないで、ほら、アイテム」

手を出すブッコローに渋々ガラスペンを渡した。インクとガラスペン。何かを書くということだろうか

「じゃあ、次のステージにいきましょうか。岡崎さんお疲れ様」

そう言って3人は上の階へ向かった。それにしてもさっきの違和感なんだったんだろう?ブッコローは心残りに思った

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