第2話 先鋒
「知ってる所なんだけどはじめて入るみたいだわ」
テストプレイの日、ブッコローは伊勢崎町本店を目の前にして緊張とワクワクが混じったような表情をしていた。
「先鋒、中堅、一角、大将のステージが用意されています。3階から順番に進めていきます」
「なんか魔王の城みたい。一角は気になるけど」
「そこも含めてお楽しみということで。ちなみに1、2階は露店ブースでたこ焼きとか綿飴などの軽食や射的や金魚すくいなどのゲームなどを用意し楽しめるようになっています」
「そっち、楽しそうだな。今日は無いの?」
「それは当日でもいいんで。今は脱出ゲームに集中して下さい。有隣堂が一番力を入れている目玉イベントなのでよろしくお願いします」
郁さんに案内されながらpと一緒に閉店後の本店へ足を踏み入れた。ワクワクしながら3階へ向かった先に誠品生活があった
「おぉ、誠品生活だ。すごくリアルに作ってあるなぁ」
感心しながら店内を眺めていたら店長の佐藤さんが来た。
「ようこそネオワールド、誠品生活へ」
「この胡散臭いこと言ってるボスを倒したらいいの?」
「あの、脱出ゲームにバトル要素はないです。ここから店長の佐藤よりクイズがあります。正解したらアイテムがゲットできます」
「佐藤さんにはプロレス問題を出さないように言ってあるんで。出されたら困るでしょ?」
「p、ありがとう。助かるわ」
「残念です。・・・・では早速問題です。私が今からサンレレで演奏する曲を当ててもらいます。本番は5問だしますが今日は割愛して1問で」
「そんなに演奏するの?大丈夫ですか?」
「任せて下さい。では、いきます」
自信満々に言ったはいいが演奏が辿々しく、途中、「え?」「ん?」と小声で言いながら弾いている。それより、ちゃんと演奏できてもこの曲は知らないなとブッコローは思った
「佐藤さん、すいません。この曲多分知らないです」
「諦めんの早!せめてヒントくらい聞いたらわかるんじゃない?」
「わかるかな?佐藤さんヒント教えて下さい」
「コレはテーマソングです」
「テーマソングもジャンルが多いからわからん。だめだ、ギブ」
ギブアップするブッコローを佐藤さんは諦めが早いと言わんばかりの表情で見つめた。
「佐藤さん、答えをお願いします」
「正解はスパルタンXです」
「スパルタン?全然知らない。アニメの主題歌ですか?」
「三沢の入場曲です」
「プロレスじゃねーかよ。プロレス出ないじゃねーのかよ」
「止められるとやりたくなる。男のサガですかね」
「サガじゃないですよ。ゆーりんちーの中にプロレスファンの割合が1%もないと思いますよ。ゲームに来た人が『よーし、ゲームクリアするぞ!』って来てさ『今からサンレレ弾きますんで当てて下さい』って訳のわかんない曲を聞かされて『この曲分からない。ギブです。さよなら』ってなったらどうするんですか。ねぇ?郁さん」
「切なくなっちゃいますね」
「プロレス問題はもう封印して下さいね」
郁さんは手元にある資料にメモをした。少し困った顔をしてpが話し出した。
「まぁノークリアだけど、今回はクリアしたということにして次行きましょうか」
「じゃあ、正解したと仮定します。ステージクリアのアイテムをお願いします」
佐藤さんがポケットからインクを取り出した。テストプレイだから融通もアリなんだろうが答えても間違っても正解になることにやり甲斐がないと何となく釈然としない気分になった
こうして3人は2階のフロアーへ向かった
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