第2話
「伝令!勇者パーティ壊滅!勇者様が今も戦ってはおりますが……勇者パーティの勝ち目は薄いかと」
「防衛は?」
「押されています。士気も下がりつつあり第2防衛線の方々に第1へ合流して欲しいと指揮官が」
「わかった!総員武器を持ちすぐに向かうぞ」
嘘……セシリアが負ける?
仲間と共に第1防衛線へ向かう
報告よりもかなり押されている
「怪我人は下がれ!」
入れ替わるように最前線へ立つ
魔物の大群が迫ってくる
槍を振るうと偶然魔物の首に刺さり倒す
「休んでる暇はないよ!」
「は、はい!」
一心不乱に槍を振るう
前方のだいぶ離れた位置から砂煙と魔物の残骸が舞っていた
トグラが移動しながら戦うため防衛線に近づいてる
「勇者様を援護するぞ」
数人の兵士が突っ込む
「馬鹿止せ!」
敵とも見られずに切り伏せられる
「ひっ……」
「お前の相手は私だ!」
セシリアが叫ぶ、ボロボロになりながら戦っているが剣が吹っ飛ばされる
セシリアは膝をつく
「ここまでよく耐えたな。褒めてやろう」
刀を天高く掲げる
「ははっ……あぁこんな事なら謝りたかったな」
魔物の大群の隙間から膝をつく姿が見える
「セ、リシア?」
……嫌……待って……
夢を思い出す
強くなり隣に立つ事を夢見て夢敗れ無力な自分を呪った
あの時と思いは同じ……弱いと言われても彼女の隣に立つために戦い続けた
「私は……」
死んで欲しくない
勇者となり重い責任をたった1人で抱える
優しき
「構わない、一時でも刹那であっても」
刀が振るわれ首にあたる瞬間ハッとしたトグラは振るうのを辞めて刀で攻撃を防ぐ
「スキル刹那の夢」
「リア?」
「助けに来たよセシリア」
「……逃げなさい!貴女じゃ死ぬわ」
「そうだね……私は死ぬよ。だけど引くのは嫌だ」
「はぁ!?何言ってるの逃げなさい!無駄死によ」
「無駄じゃない」
「いい加減に……逃げてよ」
「ごめん」
「話は終わったか?」
「後はお前を倒してから」
槍を振るう
振るった際の風圧が地面を抉りトグラに直撃する
「この力……何者だ」
「ただの兵士だよ」
一瞬で目の前に移動して斬り合う
勇者を圧倒したトグラが苦戦を強いられている
「魔法じゃないなそれは!音剣」
見えない斬撃が襲うが軽々と防ぐ
槍を振るおうとすると腕の血管が切れ血が滲む
関係なく握り締めて振るう
魔物の大群諸共トグラを吹っ飛ばす
誰も手を出せないほどの激戦を繰り広げる
「そのままでは死ぬぞ」
「セシリアを守れるなら私の命程度安い」
「狂ってるなお前」
魔法を突き破り腕を貫くが胸を刺される
「がっ……」
「腕1本でお前を倒せるなら十分の成果だ」
「残念その命貰うよ」
背後から剣が突き立てられる
「……なるほど勇者か。これはしてやられたな」
トグラは血を吐き倒れる
私が膝をつくとセシリアが抱える
「セシリア大丈夫?」
「私より貴女よ!治療しないと」
「必要ない」
「はぁ?何を言ってるの!死ぬわよ」
「私のスキルは力を得る代わりに命を代償にするの」
腕から崩れていく
「えっ……なんで!なんでそんなもの使ったの!」
「セシリアを守る為……いや私のエゴだよ」
「……貴女が死んだら意味が無いのに……」
セシリアは涙を流す
「セシリアが生きてる、なら意味はあるよ」
「意味無いわよ!貴女が死んだら私が戦う意味が……」
「セシリア?」
「生きて……幸せになってくれればそれだけで良かったのに……なんで貴女は兵士なんかになったの!そんなの他人に任せなさいよ勇者に私に任せなさいよ……」
「私は幸せだよ? 訓練は厳しいけど先輩たちは優しかったし多くの仲間も居た……それに貴女にこんなに想われてたんだから」
これは幸福な
「生きてセシリア」
体が崩れる
「やだ……死なないで……よ」
セシリアは泣き叫ぶ
そこに居たのは勇者という責任を背負えるような強い者ではなくか弱い少女だった
〜〜〜
数日後
「セシリア本当に行くの?」
「そりゃ私は勇者だからね!魔王倒すまで戦わないと」
私は笑顔で言う
勇者パーティは瀕死になった者も治癒士の魔法のおかげで一命を取り留めていた
「せめて傷が癒えるまでは……」
「じっとしていられないの。戦わないと……私が……この私が強くなって……誰よりも強く……最強なんて生緩い程に」
例えその末路が最悪でも
愛する者を失った私にとって
これは不幸な
けれど生きてと
なら勇者として生き抜き戦い続けなければならない……それが愛した者の最後の願いなのだから
願いを胸に駆ける刹那の夢 代永 並木 @yonanami
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