　ロングホーンによる伐採と、自衛隊＆米軍の共同作戦。これらは連日テレビや動画サイトで放映された。

　ウィンウィンウィィィィィィン！

　バキバキバキバキ……

　ドォーン！ドォーン！ドォーン！

　長きにわたって人々を苦しめてきたスギ林。その命運は、ここに尽きようとしている。人類の叡智の力が、悪魔に正義の鉄槌を下したのだ。

「行け！そこだっ！切り倒せぇ！」

「ドカドカ撃ちまくれ！スギ林を焼き払え！」

「いいぞー自衛隊！サムライ魂見せろ！」

「爆撃機すげぇー！さすが世界最強のアメリカ空軍！」

「スギ死ねぇ！今まで俺を苦しめやがった報いを受けろ！」

「頑張れロングホーン！切って切って切りまくれ！」

　日本国内はスギ滅会、自衛隊、米空軍への応援ムード一色に染まった。国民はテレビやスマホ、パソコン画面の前で、彼らへの声援を惜しみなく送った。長年列島を苦しめたスギ花粉症。日本国民が溜め込んだスギ林への憎しみは山よりもうず高く、海よりも深い。

　また、各地の神社ではスギ滅殺と作戦成功を祈る祈祷が行われ、スギの雄しべを火に投げ込んで焚き上げる神事が催された。神社にはマスクやゴーグル、防護服を身に着けた参拝客が集まり、スギ花粉症克服の願を立てた。

　そうして、桜が散る四月……スギの命運も散り失せた。

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