第29話
まず、魔王と戦うにしても敵を知るところから。
かつて、勇者として魔王との激戦を繰り広げたメイドさんから僕は魔王についての説明を受けていた。
ちなみにメイドさんが1000年前の勇者であることはアレシア様とララティーナは知らないので、二人はここにいない。
「魔王についての情報は私が作ったゲームでわかっていますね?」
「もちろんです。魔王は純粋なステータスと魔力量が尋常でなく、技術ではなく純粋なパワーですべてをなぎはらっていく強者。そんな魔王を更に厄介にしているのが『魔王城』という城型の魔道具。装備者が魔王城にいる限り装備者のありとあらゆるステータスを三倍にするというぶっ壊れ魔道具」
「はい。そうですね。これがあるからこそ魔王は最強であり、それゆえに彼は基本的に魔王城の玉座に居座り、戦線に出てくることは少ない。ちゃんと私の作ったゲームのことを覚えていてくれてうれしいです」
「そりゃもち……ん?作った?え?リリストってメイドさんが作ったんですか?」
「えぇ。そうよ。むしろ私以外に誰が作るというのでしょう」
「確かにそうなんですけど……マジか、あれを作れるんですが……」
「召喚魔法しかり、そういうと特殊な魔法もあるんですよ」
「あっ!そうじゃん!言われみれば魔法あるやん!召喚魔法とか僕たちの世界に干渉する魔法とか、一体何なの?あれ」
「1000年前にあった古代技術よ。膨大な魔力を使うことで世界と世界を隔てる壁に穴を受け、干渉する術よ。他の世界へと干渉する力を当時の人間が魔法と名付けただけでやっていることは普通の魔力操作と変わらないし、魔王も使えないから気にすることではないわ」
「なるほど」
僕はメイドさんの言葉に頷く。
「素直で助かるわ……えっとね。それじゃあ、次は対魔王の作戦について考えていこうかしら」
「いや、その前に魔王の戦闘スタイルを聞きたいな。ゲームとリアルとじゃ違うんじゃ……違うんじゃないでしょうか?」
「……えぇ。そうですね。それではまずそこから話していきましょうか」
僕とメイドさんは二人でこそこそ対魔王の作戦会議を進めるのであった。
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