第28話
「え?自分には何の任務も与えられていないんですか?」
貴族として僕のクラスメートたちへの指令が与えられている場に参列していたアレシア様からの話を聞く僕は自分の処遇についての決定を聞いて驚きの声を漏らす。
こう言っては何だが、これでも自分はそこそこ……いや、クラスメートたちの中でも飛びぬけて強いという自信がある。
そんな僕を遊ばせておく暇が今の人類にあるのだろうか?
「……こ、この件に関してはちょっとだけ私がアドバイスをさせていただきましたね」
そんな僕に対してメイドさんが優しく声をかけてくれる。
「今回の一件で浮き彫りになったのは魔王の異常性です。人類が勝つには魔王を何とかするほかない。常識外には常識外を。国王に私から和人を対魔王用の切り札として運用するよう要請致しました。和人には私と共に魔王城へと殴り込みに行って魔王を倒してもらいます。魔族が前線に出払っている今、魔王城はガラガラのはずです」
「ふ、二人で……?」
僕はメイドさんの言葉を聞いて思わず声を漏らしてしまう。
「安心して頂戴?私とアレシアもいるわ……それでも四人だから魔王城を強襲するにはあまりにも少ない人数だけどね」
「あっ、うん」
二人?との声を漏らした理由はそこが気になったわけではないけど……そうか、そうか……二人ではないのね。
「そう……僕が魔王を」
あの時、戦った感じではまるで歯が立たず、勝てるビジョンがまるでわかなかった。
しかし、今なら違う。
勇者としての力を得た僕であればまだ、戦いになる可能性があった。
「えぇ。そう……勇者として少人数で魔王城に乗り込んで魔王を倒す。そんな王道物語は魅力的だとは思いませんか?」
「まぁ……もう逆に珍しくなった王道物語ですが。良いですね。そそります。ふふふ。まるで僕が主人公みたいだ」
僕はメイドさんの言葉に対して笑みを漏らす。
「「……?」」
そんな僕とメイドさんのやり取りに対して地球のことをまるで知らないアレシア様とララティーナはわけがわからないと言ったように首をかしげるのであった。
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