第27話

 ようやく目を覚ましたアレシア様。

 彼女が目覚めてからはかなり慌ただしかった。

 何で言ったってアレシア様の軍団は魔王の攻撃を受けて吹き飛んでしまったのだ……国への報告から軍団の再編まで大忙しだ。


 そして、あの魔王はついでと言わんばかりに人類側の最前線に高威力の遠距離攻撃を一切躊躇うことなくぶち込んだせいで被害が信じられないことになっており、人類の前線は総崩れとなっており、現在魔王軍が進軍中。

 一つの国が滅ぶレベルに追い詰められているらしい。

 現在、かなり下がったところに人類の前線を全世界の国々が協力して再形成中だ。

 

 てんやわんやの時期。

 とうとう僕だけでなくクラスメート全員の前線出動とのことで今、王城の方でなんか色々と派手な儀式を行っている最中らしい。

 ……僕の時は貧相な紙を一つ寄越してきただけだったのにね?

 僕は今も誰も居ない小さな修練場で一人、鍛えているのにね?


「ふー」

 

 僕はそんなくだらないことを考えながら新しく僕に宿った力『神聖力』の操作をよどみなく行っていく。

 スキル『勇者』の効果はこの神聖力の獲得と操作……勇者の名を冠する力だけあってこの神聖力はめちゃくちゃ協力だ。


「まぁ、神聖力の操作はこんなもんで良いだろう」

 

 この力は僕によくなじむ……既に魔力と同じくらい操れていると言えるだろう。


「後は神聖力と魔力を同時に利用する方法を……」

 

「頑張っているみたいね?」

 

 ぶつぶつ言いながら神聖力と魔力をこねくり回していると、そんな僕のところにララティーナ、アレシア様……そして、メイドさんがやってくる。


「「……」」

 

 未だにメイドさんとは二人きりで話していないので……ちょっと、いや、というか……かなり何とも言えない空気感となっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る