第26話
自分の初恋の人がメイドさんだった……そんな事実を前に一体僕はどうすればいいんだ?
情緒を僕は完全に破壊されたよ?
「え?え?え?……初恋?……んん!?」
何とも言えない感情を抱えている僕に対してメイドさんもまた、困惑したような表情を見せている。
「……え?なんでメイドさんが驚いているの?」
「えっ!?い、いや……だって急にか、和人が私のこと好きってぇ……」
「えっ……?自分の恋心も計算の内でしょう?元の世界の方で恋心を抱かせ、こっちの世界でも厳しくも優しく接し、交流を深める。ここまでされたらたとえ僕がこんな世界に来た原因がメイドさんにあっても恨めないですよ……僕の持つメイドさんへの感情すべてはメイドさんの手の内でしょう?」
「わ、私そんなこと思ってないよ!?そこまであくどくないよ!わ、私としては和人にフルボッコにされるのは最低条件でなんとか殺されるのだけは避けようと……」
「えっ……?無自覚だったの……?1000年も生きているのに……?」
僕はメイドさんのその言葉に驚愕する。
てっきりすべて想定通りだと思っていたんだけど……。
「わ、悪いわね……その、色恋沙汰とは無縁だったのよ!私は!……そ、そ、そ、そんなことよりは、は、初恋だったって……今は……?」
「ま、ま、ま……待って!?これじゃあ……まるで僕がいきなり告白したヤバい奴じゃ……」
「だ、だ、だ、だから私は……ッ!はぅわ!?」
「ちょ、ちょっと待ってぇ!?……そ、そ、そのこれはちょっと違くてぇ……」
「そ、そ、そうだよね!しょんなきは……」
「うぅん……」
「「……ッ!」」
互いに動揺する僕とメイドさんであったが、自分の主人であるアレシア様のうめき声にはいち早く反応し、互いに言葉を止める。
「……ふわぁ」
「お目覚めですか?アレシア様」
染みついた僕の執事精神が意識を取り戻したアレシア様を優先させ、アレシア様へと声をかけた……メイドさんの方は一旦後なんだよ!
あんなんは想定外だからッ!!!
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