第2話
ダンジョンの方からラインハルト公爵家の方へと帰還し、燕尾服へと着替えた僕はアレシア様への給仕へと向かう。
時は夕方。
今頃、アレシア様は執務作業を終え、これからごゆるりと過ごす頃合いだ。
アレシア様の執務室の扉の前へと立った僕は静かにドアをノックする。
「入って」
「失礼します」
僕は扉を開けて執務室の中へと入る。
そこにはアレシア様だけでなく、ララティーナの姿もそこにあった。
「久しぶりね。和人」
「うん。久しぶり」
扉を閉め、ララティーナへとあいさつの言葉を告げた僕はアレシア様の後ろへと立つ。
「紅茶をお淹れしますね」
自分の影より紅茶セットを取り出した僕は二人が座っているソファの前にカップを置き、そこに紅茶を注いでいく。
そして、これまた影からお菓子のセットを取り出してテーブルの上へと並べる。
細かい作法とかは省略だ。
目の前にいるのがアレシア様とララティーナだけであれば良いだろう。
「ありがと」
「ありがとね……んー。ちゃんと紅茶の腕は上がっているようね。私の執事と比べても見劣りしないわよ」
僕の淹れた紅茶を口に含んだララティーナがお褒めの言葉をくれる。
「執事として就職出来るくらいには成長したつもりだよ」
「後は言葉遣いだけかしら?」
「おや?敬語をお使いした方がよろしかったでしょうか?」
「やめて頂戴」
「ふっ。僕が冗談を冗談として消化出来る寛大な子で良かったね」
僕とララティーナは小さな笑みを浮かべながら和やかに言葉を交わす。
「和人」
「はい。何でしょうか?アレシア様」
「ダンジョン。どう?」
「良い感じですね。順調に僕用の魔道具を集めていけています。今の僕ならば蟲毒之王にも苦戦しないでしょう」
「そう。良かった」
「あの化け物を相手に苦戦せず勝てる和人って一体どうなっているのかしら……?身体能力的には私と変わらないはずだけど」
「技術の差だよ」
「和人。訓練頑張っている」
「お褒めいただき恐縮です」
僕はアレシア様の言葉に頭を下げる。
「ん。本題」
「……本題?何か自分に用があるのでしょうか?」
「うん。ある。国の方から呼ばれた。異世界人全員集合」
「……ッ」
僕はアレシア様の言葉に驚愕し、一瞬だけ体を固めた。
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