第58話
「その傷でなおも立ち、闘志を衰えぬとは……誠に素晴らしき武人なり」
蠱毒之王の声が迫る。
もう前は見えなくなった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
意識が朦朧とし、視界は暗く閉ざされ、音も殆ど聞こえない。
そもそも自分が立っているのか、座っているのかもわからないような状態となる。
そんな状態であっても僕のスキルは変わらず発動する。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知が警鐘を鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
殺意感知の警鐘が鳴る。
「……あぁ」
僕は脳内の警鐘に従って体を動かして、動かして、動かして……動かし続ける。
足を動かし、手を動かし、体を動かす。
ただそれだけをがむしゃらに繰り返す。
時間間隔も既に無く、疲労感も既に無く、痛みも既に無い。
ただただ己の警鐘に従って
「あっ」
それをどれだけ繰り返したのか。
その果てに僕は白い光を見る。
「……ッ!」
白い光を目指し、僕は剣を振るう。
そして。
それ以来僕の殺意感知は反応することがなかった。
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