第51話
あれからどれくらい戦い続けただろうか?
三日三晩経ったような気がするし、まだ一時間も経っていないような気もする。
「きっつー」
大方の魔物を倒した僕は深々と息を吐いてその場に座り込む。
「そうね」
僕の言葉にアレシア様が同意し、隣へと腰掛ける。
「……ですが、これで最後でしょうか?」
「そう思いたいわね」
床の一切を見せなくしている大量の魔物死骸の上に座っている僕とアレシア様の目の前にはとある巨大な魔法陣が出現していた。
「……ラスボスの登場感がありますし、これで最後ですかね?」
「そう思いたい」
僕の言葉にアレシア様が頷く。
「最後だと思って一発大きなの狙う?」
そして、アレシア様は僕の方へと視線を向け、疑問の声を向けてくる。
「……そうですね。よろしくお願いします」
試練のことを頭に浮かべ、あまり消耗したくなかった僕はアレシア様の提案に頷き、お願いする。
「ん」
僕の言葉を聞いたアレシア様は頷き、どこからともなく巨大な杖を取り出す。
「私の中の最強をぶつける」
アレシア様が巨大な杖を構えたのと同時に目の前の魔法陣がこれ以上ないほどに光り輝く。
「……来る」
「来ましたね」
その輝きが終わり、魔法陣が消える。
そして、そこには一匹の巨大なドラゴンが残された。
「ガァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
大地を、天空を、空気中の魔力を、大きく震わせる巨大な咆哮をドラゴンは上げ、視線を僕とアレシア様の方へと向けてくる。
そして、体を動かし、その巨大な腕を僕たちへと振り下ろす────ッ
「……無駄」
だが、その振り下ろされた腕が僕とアレシア様に当たるよりも前にアレシア様の準備が終わる。
「終焉」
たった一言の、短い言葉と共に巨大な杖より放たれた魔力の球体の塊は文字通りの終焉を齎した。
「……ァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア」
魔力の球体に当たり、ドラゴンの体が灰となって崩れていき……最後にはもう何も残らない。
「おぉ……」
あれだけの強者感を醸し出していたドラゴンは何も出来ず、アレシア様の手によって殺されるのだった。
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