第44話
初めてのダンジョン探索。
少しながらの高揚を覚えても探索であったが……。
「まったく魔物がいない。え?こんなにいないの?ダンジョンって。もっと一杯いるのを想像していたよ?僕は」
今のところ延々と景色の移り変わりがない長く、曲がりくねった通路を歩いているだけであった。
「ここまで魔物がいないのは異常」
僕の言葉にアレシア様が同意する。
「そうね……私ももっと過酷なところを想像していたのだけど……」
そして、ララティーナまでもが同意し、彼女は首をかしげている。
え?君も想定外なの?
あまり考えたくも、活用したくもないが…………僕のスキルである『運命に弄ばれる者』による放送曰く、敵は蟲毒之王らしい。
個体名、ララティーナ・ラストを守りながらという文言に違和感を覚えるも見なかったことにしてとりあえず敵の名前にだけ注目しよう。
蟲毒之王……素直に名前の蟲毒だけに注目する。
そもそも蟲毒とはヘビとかトカゲとかムカデとか様々な種類の百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、最後に残ったものを神霊化し、その毒を有効活用する呪術ことであり、それを考えるとこのダンジョンに魔物がいないことにも納得がいく。
魔物を虫とみなし、ダンジョン内の魔物を使って蟲毒を行い、その残った一匹の魔物が蟲毒之王としてこのダンジョンの主として君臨すると考えられる。
だが……そもそも疑問なんだけど、まずあるの?蟲毒。古代中国のものだけど。
あるのだとしたらなんで同じ名前であるの?翻訳的な問題で似た言葉を勝手に当てはめられているだけ?
それとも僕が来るよりも先に来ていた異世界人が広めた?それともそいつがやった?
毒の対処方法を用意しておいた方が良い?
「……帰り方はあるの?」
「もちろんあるわよ。それでもこのまま何もなしに帰るわけにはいかないでしょう?もう少し探検しましょう?せめて一匹くらい魔物を倒したいわ」
……その一匹がめちゃくちゃ強そうなんだよなぁ。
最強クラスの激やばな魔物である可能性がある。
でも、逃げられないだろうなぁ。試練始まっちゃっているし……ララティーナに気を付けておかないと。
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