第43話
「なにこれ」
いそいそと何やら怪しげな作業を進めていたララティーナ。
彼女の作業が終わり、その後。小さな声でぶつぶつと何かを唱えると僕たちの前に天空へと伸びる光の柱が姿を現した。
「何って。今までの話の流れからわかるでしょう?ダンジョンに入るための入り口よ」
「いや……まぁ、そうだろうけど。大丈夫なの?これ」
「大丈夫よ。任せなさい!じゃあ、入るわよ!」
「ちょ!?あー!」
僕はララティーナに腕を掴まれ、そのまま無理やり光の柱の中へと引きずり込まれてしまう。
「あっ。待って」
そして、そのあとをアレシア様が追ってきた。
■■■■■
ララティーナに無理やり光の柱へと飲み込まれ、視界が光に包まれ……次に視界が開けたとき。
僕はいつの間にか全然見覚えのない場所に立っていた。
いつからここに引かれているのか、色が落ち、所々破れている場所がある絨毯が引かれている床にどこまでも苔むした石の壁が続いていた。
「……ここがダンジョン?」
「えぇ。そうよ」
僕の言葉にララティーナが頷く。
「ここが今回の目的のダンジョン。天空殿よ」
「……天空殿。聞いたことない」
「まぁ、アレシアの家は熱心に書物を集める私の家と違って昔の伝承に疎い家だからしょうがないわよ。どうせ行くなら普通の人じゃいけないところに行かないとね」
ララティーナがアレシア様の言葉に返答をしていたまさにその時。
《スキル『運命に弄ばれる者』が発動しました。試練:ダンジョンの制覇。個体名、ララティーナ・ラストを守りながら蟲毒之王を討伐してください》
「……」
またもや僕の頭に謎の声が響いてくる。
……またこのクソスキルが発動しやがった。
「まぁ、そうだね」
僕は頭の中に響いていた謎の声に思わず眉をひそめそうになるのを我慢しながら口を開いてララティーナの言葉に頷く。
彼女にどんな思惑があるにせよ、来てしまった以上。
一致団結して挑む必要があるだろう。
「ふふふ。僕に取って初めてのダンジョン探索。二回目となる魔物との戦い。楽しみだな」
僕は自分が少しだけ浮かれているのを自覚しながら、頬を緩めて口を開いた。
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