第41話

 ララティーナによって与えられた三日間という長い自由時間。

 僕は買い物を楽しみ、現地の人と会話を楽しみ、美味しい異世界の食事を楽しみ、これ以上ないほどに満喫した。


「これ……どうやって持って帰るの?」

 

 そんな僕は今、宿の方でララティーナからお叱りを受けていた。

 

「三日間は本当に自由、宿の部屋の方にも確認しないで上げようと思ったらこれだよ」

 

 当然ながら性別の違う僕と、ララティーナとアレシア様の宿の部屋が同じなはずがない。

 僕にはアレシア様より一人部屋をいただいていた。

 そんな僕の部屋には自分で買った大量の服やら小物やらが置かれている。

 

「……はい」

 

 どう考えても持って帰れる量じゃない。

 この世界に便利な魔法はない……異空間に入れて持って帰る!なんて物語にありそうなことは出来ないのだ。

 ……いや、でもこれを全部僕が持って帰ることも可能じゃないか?執事としては落第点にもほどがあるな。

 やっぱりなし。


「これ、どうするの?」


「……どうしましょう」


「大丈夫」

 

 どうやって持って帰るか、頭を悩ます僕に対してアレシア様が優しく声をかけてくる。


「初めて、だもんね。テンションがあがるのはしょうがない。部下に連絡して全部持って帰らせるから大丈夫」


「……ッ!本当ですか!」


「うん。本当」


「アレシア。あまり甘やかすのは……」


「ううん。今までが厳しすぎたの。これくらいの我儘なんて当たり前。そんなに大変なことでもない」


「いや、まぁ……それもそうだね。他の異世界人と比べたら全然マシな方か」


 おぉー!!!

 流石はアレシア様だ!この人に仕えて本当に良かった!……というか、うちのクラスメートはどんな無茶ぶりを振っているんだ?

 ちゃんと自重して?異世界人ってだけで引かれるようになるくらいの悪名を轟かせないでね?


「それじゃあ、この荷物の話は終わりかな。それじゃあ、本題であるダンジョン探索について話していきましょうか」

 

 ララティーナはそう口を開いたのだった。

  

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