第37話
冒険者。
それを簡潔に言うのであれば街の便利屋である。
基本的に冒険者の業務は冒険者ギルドへと寄せられた依頼をこなすことであり、依頼の内容はゴミ拾いに掃除に、建物の解体。
店番に浮気調査にさくらに治安維持に護衛に採取に……本当に多種多様の依頼が冒険者に寄せられる。
そんな冒険者が行う業務の中で最も多いのが人々を積極的に襲う魔物の討伐であろう。
元より冒険者ギルドは社会からはみ出た荒くれ者、孤児、障碍者、差別階級の人間などを管理し、魔物退治と言う危険な仕事を与えることで邪魔な人間を間引きするという邪悪極まりない理由で誕生した組織だ。
王政の混乱、宗教の権威の低下、治安の著しい悪化、魔物の増加など様々な要因によってただ各国ごとに設置されていただけの組織であった冒険者ギルドが横のつながりを広げ、勢力を盛り上げても上から圧力をかけられることのなかった時代に稀代の天才の手によって今では世界でも有数の組織へと成長した冒険者ギルトであるが、その業務は大きくなる前と変化させなかったため、今でも冒険者ギルドの仕事は魔物の討伐である。
そんな業務の中で以前のように邪魔な人間を間引くという最低の目的がなかった結果、出来たのが冒険者ランクだ。
一人一人の冒険者と依頼の難易度をS、A、B、C、D、E、Fという順にランクをつけ、自分のランクにあった依頼を割り振ることで達成不可能な依頼を受けることが出来なくさせ、死亡率を減らす。
それが冒険者ランクだ。
「冒険者ランクは試験、依頼の達成状況によって変動いたします。カズト様のランクは現在Fランクとなります。非常に申し訳ないのですが、カズト様の実力がFランク以上なのはあの模擬戦でわかりますが、冒険者になってから一週間は変更することが出来ません」
「いえ、そういう制度なのでしたらしょうがないですし、気にしないので大丈夫です。ここまで丁寧に教えてくださりありがとうございました」
ここまで長々と説明してくれた受付嬢さんに僕はお礼の言葉を告げるのだった。
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