第34話
冒険者ギルドに来て、テンプレの如く喧嘩を売られた。
であればその喧嘩を買うのはもはや義務なのではないだろうか?
初めての自由な街散策に気分が高揚している僕はそんな頭の悪いことを考え、ノリノリでおっさんに喧嘩を吹っ掛けていく。
「受付嬢さん。冒険者になるのに何か条件ってあります?」
「い、一応軽くではありますが実力試験を受けてもらうことになっていますけど……」
「へぇ。そうですか……その試験は現役の冒険者をボコボコに出来たらクリアで良いですかね?」
「ちょ、ちょっと待ってく」
「かっかっか!良い度胸だぜッ!?ガキィ!!!俺に勝つってかァ!?舐めんjy」
「うるせぇ」
「ごふっ!?」
僕は簡単な体重移動で僕の肩を掴んでいたおっさんを地面へと叩きつける。
「自分の師匠の教えの一つに売られた喧嘩は買い叩き、喧嘩を売ったことを相手に後悔させ、一生安眠出来なくなるほどに相手をボコボコにしてやれってのがあるんです。ふふふ。今日の僕は気分がいいです。毎日のように僕を夢見て飛び起きるようにしてあげましょう」
地面に倒れ伏していたおっさんの口を掴んで持ち上げる僕は笑みを浮かべて口を開く。
「冒険者ギルドに戦うための修練場みたいなところってありますか?」
「い、いえ……その」
「あるぜ!地下だ!坊主!」
「いや!俺らが連れて行ってやるぜ!」
「こっちだ!」
「やっちまえ!」
僕の疑問の声に対してどう答えるか悩んでいた受付嬢さんの代わりに野次馬と化している他の冒険者たちが答えてくれる。
「ふふふ。皆さん、ありがとうございます」
僕はおっさんを手でつかみ、ひきずりながら他の冒険者たちに従って地下の方にある修練場の方へと向かう。
「こちらですね」
僕は多くの冒険者が酒を片手に座っている観客席に囲まれている中央のそこそこ広い砂場に立ち、おっさんを投げ捨てる。
「て、てめぇ……」
「僕はこの木刀を使いますが、おっさんはその背中に背負っている大剣の方を使って構いまんよ?どうせ当たりませんので。あっ、そういえばここまでの道中でその立派な大剣が汚れて折れてしまっていませんか?やけに軽かったので少しばかり心配なのですが」
僕は全力でおっさんのことを煽りながらこの部屋においてあった木刀を構えた。
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