第20話
僕はタイラントベアと剣を交えながらアレシア・ラインハルトの説明に耳を傾ける。
「魔力共鳴の理論は簡単。互いの魔力の波長を合わせて共鳴。二人の魔力を一緒にして一人よりも強い力を引き出す」
……魔力の波長。
とはいったい何ぞや?
「ぶっつけ本番で申し訳ないけど、やってみて」
待って?僕はまず一番最初の魔力の波長で躓いたよ?
「はぅん!?」
僕は抗議の声を上げる前に己の体の中に異物が流れ込んできて
「初めて他人の魔力を流されたときはびっくりしちゃうわよね。良い感じに慣れて」
「……結構無茶ぶりしますね!?」
魔力の波長が何なのかはわからなかったけど……アレシア・ラインハルトの魔量kを流れされてなんとなく理解したぞ……えぇっと。僕の魔力をこうして……。
僕はなんとなくの感覚で己の魔力を操作しておそらくは魔力の波長であろうものをアレシア・ラインハルトのものに合わせる。
「……よし」
僕はアレシア・ラインハルトに合わせた魔力を彼女へと流してやる
「……え?」
僕より魔力を流されたアレシア・ラインハルトが僕に驚愕の視線を向けてくる。
「どうしましたか?……よそ見していると危ない気がするのですが……ァ!」
「ガァァァァァ」
僕はタイラントベアの上段回し蹴りを回避し、後退。
「いや……何でもないわ。魔力共鳴はこれでオッケーよ。後はガッツリ合わせるだけ。タイミングは私が作るわ。私が来て、って言ったら私の方に来て」
「了解です」
僕はアレシア・ラインハルトの言葉に頷き、タイラントベアへと斬りかかる。
一振りは相も変わらずタイラントベアの硬い肉を斬り裂くにまでは至らず、軽く血を流す程度で終わる。
……なんで毛皮より肉の方が硬いんだよ!こいつはァ!
「跳んで」
「了解です」
僕は突然のアレシア・ラインハルトの命令に頷き、跳躍。
「んっ」
アレシア・ラインハルトは地面へと手をつき、魔力を地面に込める。
「わぉ」
膨大な魔力を流された地面はひび割れ、タイラントベアが地面にはまって動けなくなる。
「来て」
「了解です」
僕は空中に魔力を流して足場を確保。
空中を蹴ってアレシア・ラインハルトの隣へと降り立つ。
「……んん!触れる」
「どうぞ」
アレシア・ラインハルトが剣を握る僕の右手を自身の左手で掴み、宙に掲げる。
「二人で魔力を込める」
「了解です」
僕とアレシア・ラインハルトは二人で一つの剣へと魔力を共鳴させながら流し込んでいく。
「ガァァァァァァァァァッ!!!」
タイラントベアがひび割れた地面より脱出し、僕たちの方へと近づいてくる。
「私たち二人の力に敗北して」
タイラントベアが僕とアレシア・ラインハルトの前に立った瞬間。
僕たちは剣を振り下ろした。
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