第18話
睨み合う僕たちとタイラントベア。
「私に合わせて」
一番最初に動いたのはアレシア・ラインハルトであった。
レイピアを手にした彼女は勢いよく地面を蹴り、真正面からタイラントベアへとぶつかっていく。
「了解です」
僕はそれを見て行動を開始。
素早くタイラントベアの背後に回って剣を振りかぶる。
「ガァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
僕とアレシア・ラインハルトがタイラントベアに近づいた瞬間。
タイラントベアは膨大な魔力が込められた咆哮を一つ。
「……ッ」
「ぐっ」
衝撃波を伴ったタイラントベアの咆哮は僕たちの動きを止め、ほんの僅かに後退させる。
「ガァッ!」
動きを止めたアレシア・ラインハルトへとタイラントベアが突っ込み、巨大な腕を振りかぶる。
「……っぶない」
それをギリギリのところで彼女は回避する。
「シッ」
僕は背中を晒しているタイラントベアへと近づいていく。
「ちょい!?」
タイラントべアは格闘選手顔負けの後ろ回し蹴りで近づく僕へと応戦する。
「こんな機敏に動くなんて聞いてないぞ!?」
なんとか上半身をそらしてタイラントベアの後ろ回し蹴りを回避した僕は剣を振り、タイラントベアの股へと斬りつける。
「かった」
僕の一撃はなんとかタイラントベアの毛皮を斬ったがそれまで。
ほんの僅かに血が流れただけで僕の渾身の一撃は終わってしまう。
「ガァ!」
地面に足をつけ、僕の方へと体を向けたタイラントベアが僕へとその大きな腕を振り下ろす。
「うぉぉぉッ!!!!
僕は剣でその腕を受け止める。
「……ぐぐっ」
タイラントベアの腕の力は尋常じゃなく、僕は徐々に押し込まれていく。
「……」
僕がタイラントベアと競り合っている中、アレシア・ラインハルトはレイピアでタイラントベアの肩を何度も突き刺している。
だが、それによってタイラントベアの態度は何も変わらない。
「無理ッ!」
僕はもう限界と言ったところでタイラントベアの腕を受け流し、地面を蹴って後退。
タイラントベアから距離を取る。
「ごめん。全然傷つけられなかった」
タイラントベアから距離を取った僕の隣へと移動してきたアレシア・ラインハルトが僕に対して謝罪の言葉を口にする。
「いえ、自分も同じですから……地道にやっていくしかないですかね」
「そうね。一発ももらわないようにね?」
「了解です」
僕はアレシア・ラインハルトの言葉に頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます