第16話
何の意図があるかわからない謎の質問を受けた僕がなんとかして絞り出した答え。
「ふふふ……そう」
それを聞いたアレシア・ラインハルトは小さく笑みを漏らし、頷く。
「……おぉ」
アレシア・ラインハルトはびっくりするくらいの美少女である。
普段は無表情な美少女がこぼした小さな笑みは物凄い威力を持っていた。
「ん?どうした?」
「いえ。何でも無いです。アレシア様」
「ん。なら、良い」
僕の言葉にアレシア・ラインハルトが頷く。
「植物が好きなんだよね?」
「いえ、植物と言うよりは自然そのものが好きですね。自然溢れる場所は良いですよね。心が癒やされます」
「……うん。よくわかる」
僕の言葉にアレシア・ラインハルトが同意する。
「私も自然は好き。ここの森にもよく来る。珍しい植物とか動物とかいるし……私が案内してあげる」
「おぉ!本当ですか!是非よろしくおねがいします」
僕はアレシア・ラインハルトの言葉に歓喜の言葉を上げ、案内をお願いする。
「ん。任せて」
アレシア・ラインハルトは僕の言葉に力強く頷き、意気揚々と歩きだしていった。
■■■■■
森の中を歩いていた間、これまでずっと沈黙し、気まずい雰囲気が漂っていた僕とアレシア・ラインハルトの雰囲気は一変。
実に穏やかで楽しげな雰囲気に包まれていた。
もちろん、アレシア・ラインハルトに森の中を案内して貰えるのも嬉しかったが、何よりあの気まずい雰囲気がなくなったのが一番うれしかった。
「……ちょっとまずいかも」
「え?どうしたんですか?」
森の中を仲良く歩いていると、突然アレシア・ラインハルトが足を止め、眉をひそめる。
「遠くに少しばかり厄介な魔物がいる」
「……魔物」
確か人間を積極的に襲う怪物、だったけか。
「これは少しばかり厄介ね」
「そうで」
僕がアレシア・ラインハルトの言葉に同意しようと口を開いた瞬間。
《スキル『運命に弄ばれる者』が発動しました。試練:魔物との邂逅。個体名、アレシア・ラインハルトと協力して魔物を討伐してください》
僕の頭の中に謎の声が響き渡る。
「……ッ!?嘘!?こっちに近づいてきている!?私たちに気付いているというの!?」
アレシア・ラインハルトの焦ったような声を聞いて僕は顔を引き攣らせる。
「……んな」
……やっぱりクソスキルじゃねぇかッ!これぇ!
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