第13話
僕が異世界へと召喚されて早いことでもう一か月も経過していた。
この間、僕はひたすらメイドさんとの模擬戦を繰り返し、己の強さの練度を極めていっていた。
魔力の操作も滑らかかつ様々なことに応用できるようになったし、剣術のレベルも格段に上昇している。
今ではラインハルト公爵家に仕えている騎士に模擬戦に勝利、明らかに手を抜いているであろうメイドさんとも良い勝負を出来るくらいにはなっていた。
……今まで自覚なんてこれっぽちもなかったけどたった一か月程度で騎士に勝利出来る僕の戦闘センス凄くない?
そして、一応騎士を相手に勝利した僕を相手に手を抜いても余裕で戦えるメイドって何?
それはもはやメイドの枠を超えてきてない?
「それでは今日も今日とて模擬戦と行きましょうか」
朝ごはんを食べ終えた僕は早速メイドさんに模擬戦をするよう強制される……。
「戦闘の機械を育てようというのもわかる」
僕は自分の席から立ち上がることなく座ったまま口を開く。
「はい。なんでしょう」
「でも、いくらなんでも機械に育てようとし過ぎなのではないだろうか?僕ってばここ一か月ずっと戦闘漬け……僕に自由時間など一切なく、人権なんて存在しなかった。これは少しばかりひどすぎるのではないだろうか?もう少しばかり僕に自由を認めてくれても良いのではないか?」
「なるほど」
僕の言葉を受けてメイドさんが笑顔のまま頷く。
「確かにあまりにも締め付けすぎたのかもしれません。少しくらいは自由を認めてあげるべきでしょう。和人様は何度も送られてきている同級生からの会いたいという申し出もすべて却下してただひたすらに己の腕を極め続けていましたし」
「おぉ!マジかッ!よっしゃァ!」
僕は認められるなど露にも思っていなかった己の申し出がメイドさんに了承され、ガッズポーズを取る。
「今日一日はあなたに自由時間としてプレゼントしましょう。ただし。アレシア様と一緒に過ごしてもらいますよ?」
「……へ?」
そして、次のメイドさんの言葉に僕は固まるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます