第11話

 自分が授かったスキルに何とも言えない感想を抱いて色々と萎え、食堂でメイドさんと食べた料理の美味しさにテンションを跳ね上げ、広いお風呂を一人で満喫し、気持ちよく眠って次の日。

 美味しい朝ごはんをいただいた後、僕はメイドさんに連れられて広いグラウンドへとやってきていた。


「まず、早めに謝っておきましょう」


「……はい?」

 

 僕は開口一番に謝罪の言葉を口にするメイドさんに首をかしげる。


「上からの意向によりこの世界に関する詳しいことを教えられません。詳しい知識を知られたら厄介ですので。あなたたちに私たちが求めているのに魔王と戦うための機械です」


「え?それ僕に言っていいやつなの……?」 


「えぇ、問題ありません。これを知ったところであなたは何も出来ないでしょう?」


「……えぇ、まぁ」

 

 僕はメイドさんの言葉に頷く。


「現状ではそうですね?」


「ふふふ」

 

 挑戦的な僕の言葉にメイドさんは笑みを漏らす。


「それくらい生意気な方が可愛げがあります。これ以上ないほどにしごき回してバリバリに鍛えてあげましょう」


「冗談です。やめてください。死んでしまいます。僕は何のスキルも持たない落ちこぼれなのです」

 

 僕は真顔で嘘を吐きながら勘弁してくれと懇願する。


「まったく。つまらないですねぇ」


「僕は出来ればスローライフを希望したいんです。この世界でのんびり平和に生きたいんです」


 まぁ、僕のスキルでそれは無理なんだけど……この世界で僕はどうしよっかなぁ。目的が正直ない。

 乙女ゲーだったこともあって可愛い女の子のヒロインへの掘り下げなんてほとんどないので別に僕はこのゲームに推しキャラがいるわけではない。

 この世界でやりたいことが特に見つからない。


「まぁ、良いでしょう。アレシア様にもあまり虐めないであげてと頼まれていますから。優しく私が手取り足取り教えてあげましょう」


「……なんか色々と不穏な気がしちゃうんだけど。いや、なんでもないです。よろしくお願いします」

 

 僕はメイドさんへと頭を下げた。

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