第20話 キャンプにゃ?合宿にゃ?


 無事テントを張り終えた私たちは、せっせと荷物を中に運び入れている。

しかし、ここでもある問題が発生した。

それは……


「ちょっと!!?お菓子があまりにも多すぎますわよ!!?今回の合宿中に食べ終わりますの!?ロミさんいったいどれだけ買ったのです!!?」


そう、なんと私たちが決めたお菓子専用の共有場所は、山済みのお菓子により埋め尽くされていた。

それはもうすごい量である。


「私は残りの分の硬貨です」

「ん?残りの分って??確か金貨25枚あって食料と生活製品……テントで15枚消費しましたよね??残りの10枚をお菓子に使ったの??」


ミシュが嫌な予感がしたかのように呟く、実際金貨10枚ということは10万円分のお菓子を買ったということになるのだ。

私達は全員で察した。

ロミにお金を渡したら、絶対だめだと言うことを。


「まあ~とりあえずこのテントが大きくて助かりましたわ~」

「そうだにゃ……」

「それではアレをしますわよ!!」

「バーベキューにゃー!!」


私は急いで再び焚火に火をおこし、網を取り付ける。


「食料と追加の薪を持ってきましたわ~」

「そこに置いといてくださいまし!!」

「さぁ~みんなで焼くにゃ~!!」


次々食材を焼いていく……5人もいるため、焼く肉の量は追いついてはいないかった……ゆえに……


「ロミ!また私の肉取りましたわね!!?」

「エリは食べ過ぎです!太りますよ!」

「ロミにだけは言われたくありませんわ!!」


エリとロミの喧嘩が勃発していた、そんな2人に比べてミシュとスライは賢い……焼くのに多少時間がかかるが端っこで自分の分だけを、分けて焼いていた。


「エリとロミ!2人の分は私が均等に焼くにゃ!!」


ということで、私は結局2人の分の肉と野菜を焼く事になるのだった……。


「ふ~たくさん食べましたわ!」

「案外シャーリンさんに焼いてもらうと、なかなかいいですわね!」

「それは良かったにゃ!」


ロミとエリは満足そうに、自分の皿を片付けに行った。


「私は網を片付けるにゃ~」

「シャーリンこれどうぞ」


私が網を片付けようとしたとき、隣のミシュから、たくさんの野菜と焼かれている肉が入った皿が手渡される。


「にゃにゃ??」

「シャーリン2人のを焼くのに、自分の分そんなに食べてなかったでしょ?」

「後片付けは私たちがやってますから~どうぞゆっくり~食べてください~」

「ありがとうにゃ!!」


私はスライとミシュに頭を下げると、そのまま一口……肉は冷えてはいるがとても美味しかった。


(こんなキャンプもなかなかいいにゃ……)


というわけで、私たちの豪華なバーベキューは楽しく終わりを迎えた。



次の日……私たちは朝5時という早朝で、川の前に何故か集められていた。


「皆さん!忘れていませんか!?今回はキャンプではなく合宿なのです!!というわけで!朝ご飯をかけた対決をしましょう!!」

「なんにゃ?それは」


ロミが珍しく真面目な顔をしている。

これから何をするのかは、全く分かっていのだが嫌な予感がする。


「その名も……肺活量対決です!!」

「何をするのです~?」

「まずは1人ずつ!この前に立ち大きな声であー!と言ってもらいます!!そしてその他の見ている人の1人が、これで時間を計ってもらいます!!声が消えたり息を吸えばそこで終了です!!なお1位の順に朝ご飯が変わります!!」

「良いにゃ!面白そうにゃ!!」

「私もするのですか~?」

「ええ……まじかぁ……」

「2人とも!楽しそうじゃありませんか!やりますわよ!!」


私とエリはノリノリだったのだが……ミシュとスライのやる気が、明らかに無いようにも見える。



「そして1位の方は……この高級肉と白米です!!2位の方はこの少し高めの肉と白米です!3位の方は白米とみそ汁です!そして4位の方は白米のみとなり……最下位の人には罰ゲームとして……この小さなグミ1つとなります!!」

「最下位明らかやばいにゃ!!」

「はぁ……絶対1位取りますわ~」

「これは、真剣に行かないといけないか……」


どうやらやる気のなかったミシュとスライも、ようやくやる気を出したようだった。

しかし私には自信が全くなかった。

理由はスタミナに関しては、絶無だからだ。

それは前のレースで痛感している。


「順番はくじで決めますわ~!」


ということで私たちは、エリが準備をしてくれたくじを引く。


「ゲッ最後にゃ……」

「私は3番目ですわ~」

「私は4番目ですわね!!」

「え~……2番か……ということは……」

「私が1番ですか……ふっふっふ……頑張りますよー!」

「ちなみに1回だけなの??」

「私も思ったにゃ!3往復して一番いいタイムで競えばどうにゃ?」


ミシュの疑問に私も頷く……ミシュの疑問はごもっともで、1回だけだと声も温まらず、本来の力が出せず終わってしまう可能性もあるのだ。


「そうですね……では3回しましょう!!そうして一番長かったタイムを、記録として残しましょう!」


エリが地面に私たちの名前を横並びに書き、その下に回数とタイムを書く場所を書いた。

こうしてここにタイムを記録して、1回目より2回目の方が上回った場合、前のタイムは消す仕組みにしたらしい。


「これなら私達にも分かりやすいにゃ!!」

「良いですか!!?今回の合宿はライブ合宿を兼ねているのですよ!?本気でして下さいね!!?」


ロミが私たちの念を押してくる。

合宿関係あるのか全く分からないが。


「分かってますわ!」

「負けないにゃ!全力でするにゃ!!」

「やると決めたら私も本気で行きます」

「私も頑張りますわ~」


突如始まった肺活量対決に向けて、私たちは精一杯に意気込むのだった。

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