第19話 テントを作るにも大変にゃー


焚火を完成する所までは出来たのだが、テントを作っていないことに気づき、現在制作に取りかかろうとしていた。

しかし……私達はまたもや、ある問題に直面している。


「このテント、作り方書いてないですわよ?」

「そりゃそうですわ~私、を買いましたわ~説明書はないですわ~」

「何していますの!!?」

「私が作ってみるにゃ!!」

「周りはかなり暗いですよ?大丈夫ですか??手伝いますよ」

「私も手伝うわ」

「ロミにミシュありがとうにゃ!」


とりあえずテントを取り出していく……が……そこには思った通り、無数の骨組みやシートが入っているだけだった。


「これはなんですの?」

「多分打ち込んで固定する釘?みたいなものかにゃ?」

「シャーリン分かるの??」

「昔、よくキャンプ連れて行ってもらって……簡易テントなら、立ててたとこ見てたにゃ」

「ですが打ち込みと言っても周りは石だらけですよ……?」

「だったら、石の間に挟めばどうですか~?」

「ちょっと待つにゃ!!まだ早いにゃ!!」


スライが先に打ち込もうとするため、私は慌てて止める。


「とりあえず、下に敷くものが必要だにゃ……こんな石の上では寝られないにゃ」

「でしたらこれはどうですの??わたくしの……今の家から持ってきたのでしてよ!」

「なにこれ……」

「折り畳み式の簡易テーブルですわ!ご覧の通り足がかなり付いており、壊れにくいですわ。元々は椅子やベット代わりにもなり、この上で生活できるくらいの強度がありますの!あとは同じテーブルならくっつきますのよ!」


エリが大きな袋から、20個ほどテーブルを取り出し、組み立てていく……大きい袋だと思ってはいたが……あんな重い物を背負っているのにも関わらず。さらに買い物で重い物を持たせ、平気の顔をしているエリは一体……と私が軽く思うが声には出さなかった。



「テントの大きさはどう?」

「ぴったりのようですわ~さすがですわね~」

「一応これで床は完成したにゃ!テントの屋根もぴったりにゃ!!……でも……かなり大きくないかにゃ???」

「後はこの骨組みを中に通したら、完成ですかね?」

「でも……このテント余裕で20畳くらいの大きさあるにゃ……作るの……大変そうにゃ……」

「にじゅうじょ??」

「ミシュには分からないかにゃぁ……広さの単位の事にゃ!……多分?まぁ簡単に言うにゃ、このテーブル1個が1畳と考えたらいいにゃ」

「となると、かなり多きくありませんこと!?」

「普通に部屋の大きさ超えますわ~」

「皆さん!!とりあえず組み立てないと、明日になりますよ!!」


私達は思うがままに骨組みを組み立てていく……が……やはり作るのに苦戦していた。

その理由は、骨組みが多いということもあるのだが……1番の原因は……


「ここの骨組み何処にありますの??」

「私知らないにゃ、どこか置いたんじゃないかにゃ??」

「暗くて何も見えませんわよ!」

「焚火が消えてますわ~薪持ってきます~」


定期的に焚火の心配をする必要があったからだ。

焚火の管理もしっかりしていないと、今みたいな周りが何も見えない状況におちいってしまう。


「ありましたわ!スライありがとうございますわ!!」

「それ合ってるにゃ??かなり長いにゃ……?」

「これで間違ってら嫌ですわよ!?せっかく組み立てましたのに」

「パッケージには縦20メートル横10メートル高さ10メートルらしいにゃ」

「私も同じくらいの長さだね……かなり重い」


ミシュとロミ、スライが奥から新たな棒を、引きずって歩いてくる。


「これをここに、入れるんじゃありませんか??ほらこのテントの端っこに穴が開いています」

「でもそうなると上、私足らないにゃ。しかもこれ、4つ角にしないといけないにゃよね?」

「私達が飛んでシートを持ち上げますわ~」

「じゃあまずは寝かして、テントの中に入れるにゃ!」


私達は中にもぐりこみ奥に入れていく……がやはり棒自体かなり長く、持ち上げるのには結構困難だった。


「これってちゃんと固定されますの??底が平らですわよ」

「そのための釘じゃないの?」


ミシュがまさに当たり前の解答をする。

自分でも、当たり前の質問をしたことに気づいたのか、エリは顔を真っ赤にしてしまった。


「そ……そんなこと分かっていますわ!!お腹がすいてきたので、頭が回らないのですわ!!」


エリはどうやら、お腹がすくと機嫌と頭……が悪くなるようだった、実際にも私の世界ではワニはかなりの肉食で、色んな動物を何も考えず食べていたイメージがある。


「でも家がないと寝られませんし……頑張りましょうよ」

「分かっていますわ!!持ち上げますわよ!」


全員で持ち上げようとするがなかなか上がらない……


「シートが邪魔にゃ!」

「シートは私たちが上げますわ~ミシュは真ん中を頼みますわ~」


ミシュが奥まではい寄っていき、シートを持ち上げ、ゆっくりと上に飛んでいく。

スライはどうやら終着点に棒を固定する為、私達の真上にいるようだった。


「私たちはここで待機します!」

「分かったにゃ!!それじゃあゆっくり上げるにゃ」

「任せてくださいませ!」

「行きますよ……せーの!」

「ん~にゃあ!!」

「もう少し頑張ってくださいませ!!」

「かなり重いですね……」


棒はゆっくりだが持ち上がっていく……私たちは手前を持っているためかなり重い。

かつ中には灯りはないため、真っ暗でどこに何があるのか、全く分からない状況だった。

しばらく持ち上がると、不意に少し軽くなる感覚があった。


「ここまで上げてくれたら~手伝いますわ~」


スライが片手で棒の先端を掴み、左手でシートを受け止めているらしい。


「スライにゃーん!結ぶところあるにゃー!!?」

「今探してますわ~!」


スライが棒を立てるため、ゆっくりと上がっていく……スライにさえ渡せればあとはスライに棒の管理を任せ、私たちは下で倒れないように抑えているだけなので、かなり楽になる。


「ありましたわ~!」

「じゃあ結んでくださいまし!!」

「2人で抑えるのお願いしていいかにゃー?私釘打つにゃ」

「良いですわよ!まかせてくださいまし!」

「分かりました、気を付けてくださいね」

「ロミありがとうにゃ!」


というわけで私は、トンカチで大きな釘を打ち込んでいく……ここは岩や石が多いためなかなか苦戦はしたが、無事4つ角に打ち込むことが出来た。

残りは真ん中の重要な柱部分だけである。


「上も結べましたわ~」

「これでテントの枠組み1つ完成にゃ!!」

「どんどん行きましょう!!」

「スライ交代!」

「ミシュお疲れ様ですわ~」


ということで私たちは、残り3つを組み立てていく……2回目なのでここからはすぐに作り終わった。


「後はこれですわね……」


1つだけすごく長い大きな棒があった。

これは屋根そのものを支える中央の棒なので、重さも長さも桁違い。


「中央の柱だと思いますよ」

「私が誘導しますわ~!」


中央にはスライがいるため、スライの指示に従い、歩いて行こうとする……が


「このシート重いですわね……」

「私飛びながらシート上げようか?」

「頼むにゃ!!」


ミシュは先端まで行くと、上空に持ち上げていく。

ミシュの労力は増えるだろう。

しかし、前の見えない私たちが、進むにはそれしかない。

そうすることにより、何とか前に進むことが出来るのだ。


「私たちはゆっくり進むにゃ!!」


私達の見事な連携で、無事スライのいるところまで、持って行くことが出来た。

そこから、角をミシュのいる上へと持ち上げる作業が始まる。


「「「せーの!」」」」


屋根は、ミシュが上で落ちてこないように支えてくれているため、難なく持ち上がった。


「ミシュにゃん!気を付けてにゃ!」

「了解!持ったよ!」


という事でラスト……柱の固定だけである。

ここからはもう早かった。


「打ち込んだにゃ!!」

「こっちも結べたよ!!」

「完成しましたわね!!」


私は外に置いていた、ランタンを持ってくる。


「ミシュ!これ上に結べないかにゃ!!?」

「ちょっと私、今無理」

「私が付けますわ〜」


とスライが上にランタンをくくり付けそのまま電気をつける……


「「「「かんせーい!!」」」」


私達はこれまでにないほど、大きくハイタッチをする。

それはそうだろう……午後6時頃に作り始めて、今時計を見ると、もう夜の10時になっていたのだから……

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