第7話 スラチオ学園に招待されたにゃー
とある部屋……
2種族の女性が、話し合っていた。
「シュレーヌ生徒会長どうかしたのですか??急に呼び出したりして……」
「あぁ……リンカ……急に呼び出してすまない……招待状に1人分の枠はあるか?と聞きたくてな」
「はい、ございますよ?しかし誰を招待するおつもりですか?」
「この子だ」
シュレーヌがリンカにテレビを見せる。
「シャーリンさんですか??すみませんご存じないです」
「だろうな……私も昨晩のニュースで知ったのだ」
「どのような方なのですか?」
「私もよく知らんが……当日参加枠の新人が、新人にしては少ない逃げ戦法をした」
「確かに珍しいですけど……前も何人かいらっしゃいませんでしたか?」
リンカが首を傾げる。
長い歴史で見たらそこまで珍しい事ではないそうだ。
「あぁ……だが初めてのレースで逃げ戦法の結末は大体スタミナが切れる。だがこの子は途中スタミナが切れるも、後半異次元の加速でレコードタイムをたたき出したらしい……2位ではあるが」
「初参加でレコードですか!?1位は誰だったのです!?」
「リンカなら聞いたことがあるだろう?現在2級レースそして、陸上中等部最強と言われているロミ・リザイアだ」
「なるほど……そういうことでしたか……」
「ちなみにその時3位だったのが、そのロミと同レベルだといわれていたエリ・ウランだ」
「ええ!!?エリさんが新人に負けたのですか!?」
リンカは頭が混乱したような顔をする。
エリも負けたとはいえ、かなりの強さがある。
少なくとも中等部の中ではロミとエリの2強と呼ばれており、2人に当たると終わりという暗黙の決まりまであるらしい。
「ロミは最後にこう言ったらしい……『あと10M長ければ負けていた』と……」
「そんな接戦だったのですね……」
「あぁ……誰もが2人のマッチレースを期待した中での当日参加枠が2位だからな……しかもまだレース慣れはしていないようだった。つまり……」
「全くの初心者??」
「その可能性は高い、だから成長すれば必ず1級レースを勝ってくれるだろう」
「分かりました……至急お送りいたします」
「頼むぞ、この機会を逃したくはないからな」
リンカが慌てて走っていった。
「……これから面白いことになりそうだ」
シュレーヌはそのまま椅子に座りなおす。
「さぁシャーリンよ来るがいい……この学園がお前を世界の頂点に立たせてやろう……とはいえ、私たちの国は世界ランキング最下位なんだがな……」
そんなことを言いながらじっとテレビを見るのだった。
「にゃーん!朝にゃー、ブルブル!あにゃ?そうか私……今猫じゃないにゃ……」
私は、誰もいないのに体を振って……恥ずかしくなりベットにもぐりこんだ。
コンコン……
誰かのノックが聞こえる。
「シャーリン様!」
「はいにゃー!今開けるにゃー」
私は、照れていたことをバレないよう、顔を両手で叩き、そのままドアを開ける。
「おはようございます……ってどうしたのですか!?その顔……」
「にゃはは……思いっきり叩き過ぎたにゃ……」
「はぁ……顔は大事にして下さいね?そうです!シャーリンさんにお手紙ですよ」
「にゃにゃ??私に?間違いじゃないにゃ?」
「一応確認お願いします」
「『シャーリン様へ』……あってるにゃ」
「それでは失礼します」
ガチャと女性は扉を閉め、歩いて行った。
この世界には初めて来たため、私の知り合いは当然いないはず。
「誰からの手紙かにゃー?なんにゃ?このマーク……」
コンコン!
今度は窓から音が聞こえる。
誰かの嫌がらせだろうか……
それはそうだ、初参加で2位……もちろん嫉妬もあるだろう……
(ん??窓からにゃ??)
「うにゃああ!」
そこには笑顔で空を飛ぶミシュがいた。
そういえばここは異世界、飛ぶ種族など普通にいる。
「やほー!おはよー遊びに来たよー!」
「何で窓からくるにゃ!」
「だって近いし―」
「それよりこの手紙何かわかるかにゃ?」
私はミシュに手紙を渡す。
ミシュなら何か心当たりあるのではないかと思ったのだ。
「なに?これ」
と手紙を面に向けたとたんミシュの顔が変わる。
なんと言うか……驚きの表情だ
「どうしたのにゃ??」
「こ……これ……スラチオ学園高等部の推薦状と招待状だよ!!」
「にゃんだってええ!?」
「私にだって届いたよ!これで推薦入学……これがあれば試験なしでそのまま即入学できる!!」
「そうなのにゃ?」
「うん!すごいよ!スラチオ学園は、このマージュ国にとって最難関の学校!30万種族試験受けてたったの30人レベル!これが来るということは、生徒会長が君に興味を示したということ!!」
「へえ……ということはミシュと一緒に入れるってことにゃ?」
「そういうこと!ロミやエリもいる!」
「良かった……知り合い沢山いるにゃ……」
「推薦者……いわゆる招待状を送られた人の方が登校日が早いから……明後日だね……明後日また呼びに来るから!!」
「早いってどれくらい早いにゃ?」
「一般入学試験は来月かな。まぁ授業は同じ日から始まるから……私たちは先に学園に入って1ヶ月の間、自由に生活できるってこと!多分!」
「多分にゃ!?」
私はついつい突っ込んでしまった。
まぁ、入学してないのに、分かるはずもないので当然と言えば当然なのだが……
「まぁ明後日はその説明の日かもしれないね……私も高等部は初めてだから何とも言えない」
「じゃあ明後日まで準備しとくにゃー」
「おっけー!また迎えに来るね!」
「またにゃー!」
私は窓から飛んでいくミシュを見送った。
机の上には推薦状の封筒がポツン……と置いてあった。
「招待状にゃあ……実感が全然わかないにゃ……」
私は机の上に置いてある封筒を取り、手紙を見る。
【『シャーリン様へ』
本日はご多忙の中、手紙をお読みいただきありがとうございます。スラチオ学園高等部レース指導課長のリンカと申します。
本日はシャーリン様をスラチオ学園高等部に推薦をさせて頂きたいと思いご連絡をさせて頂きました。
あまりに突然の事で驚かれているかとは思います。しかしあなたの走りには目を見張るものがありました。さらに努力し強くなれば1級レースにも勝てる可能性があります。
無理にとは言いません、この手紙の裏面に書いている時間に来ていただければ、そのまま入学という形を取らせていただきます。もう少し考えたいのであれば、その日は来ず、一般入学という形で来月来ていただくことも可能となっております。
ぜひともスラチオ学園高等部をよろしくお願いいたします。
スラチオ学園高等部レース指導課長、寮長リンカ・スランより。】
「にゃるほど……まぁ行くならちゃんとしていかないとにゃ……みんな真剣に走ってるにゃ!私だけ遊びでなんて行けないにゃ!!よーし!やるにゃ!!」
私は1人、部屋で両手を上げたのだった。
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