第6話 二戦目のリベンジ合コン②

「あんた、名前は何て言うんだい?私は、ドーアって言うんだけど、見ての通り戦士をやっているよ」


俺は興味のない女からの質問だったので、素っ気なく言葉を返す。


「俺は、サークって言います。剣士をやっています。お二人は同じパーティーなんですか?」


「うん、一緒にパーティーを組んでるよ。この子の名前はチリー。この子もあんたと同じ剣士だよ」


俺の正面の席の女戦士ドーアが答え、隣の美女を見る。俺はその隣の美女と話がしたいのに、代わりに答えるなと思う。


「以前、同じ席でしたよね?あまり、お話は出来ませんでしたが・・・」


俺は狙いの美女の剣士に話し掛ける。美女剣士は急に気が付いた様に、俺の方を見て答える。


「あぁ、そうだったな。あんたはあの時、酔い潰れて途中で寝てたよな」


チリーは、ぶっきらぼうな感じで俺に答える。そういう所もスゴく素敵だ。俺は、ますます彼女に興味を持つ。


「へぇー、よくこういう会に参加するんですね。意外ですね」


マッス先輩の左隣のナルシスト風の回復士が、話に入って来る。俺は邪魔すんなよと思い、眉根を寄せる。


「申し遅れました。僕の名前はメンテと言います。回復士をやっています」


奴は丁寧に自己紹介を始める。こいつ、もしかしてチリーを狙っているのか、俺はイライラしてくる。しかし、チリーはそんな事気にせず、メンテに笑顔で答える。


「あんた、やっぱり回復士か?実は私とドーアは同じパーティーで、腕の良い回復士を探してるんだ。あんた、どれくらいのレベルなんだ?」


チリーは何だか嬉しそうだ。回復士が目当てなのか?奴にご機嫌に話しているのが、俺は気に食わない。


「レベルは中級くらいです。回復魔法、補助魔法、治癒魔法も中級程度なら、だいたい使えますよ」


メンテは爽やかに答える。何だ、中級かよ、大したことないなと、俺は心の中でこいつをバカにする。


「本当かよ。スゴいな。ちょっと詳しい話聞かせてくれよ」


チリーはメンテに興味を持ち出してる様に答える。俺は、その様子に焦り出す。いや、そいつ大したことないですよ、俺の方がスゴいですよと、俺は心の中で叫び出す。


チリーとメンテが楽しそうに会話している。俺は、つまらないなと思い始める。そして、他の人達の事が気になり、周りをキョロキョロと見回す。


マッス先輩とナイスバディの魔法使いの子が楽しそうに会話している。俺はその話に耳を傾ける。


「俺の名前はマッスだ。あんたは?」

「私はフーコ。魔法使いよ。貴方は戦士ね?」


「あぁ、そうだ。大斧と筋肉が俺の武器だ。この筋肉を作る為に、毎日身体を鍛えている。あんたも鍛えてるのか?なかなかの身体だ」


「えぇ、鍛えてるわよ。この身体を作る為に、食事と運動に気を配ってるわ」

「やはりな。俺達、似た者同士だな。俺はストイックな女を尊敬する」


さすが、先輩。会話が上手いなと俺は感心する。相手の関心を持っている話題を引き出し、自分が似ている事をアピールする。俺もこの戦法で攻めようと作戦の立て直しを考える。


ふと見ると、一番離れた席の方では、クールな魔法使いの男と、地味な回復士の女の子が仲良く喋っている。男がダフと言う名で、女の子がジマと言う名らしい。俺は神経を張り巡らして、周りの会話と状況を把握していく。


マッス先輩とフーコというナイスバディは、いい感じだ。明らかに二人の世界に入っている。俺の予想では、恐らくカップル成立になるであろう。


ダフという男とジマという女も同様だ。ここもカップルで決まりかと、俺は推測する。


と、いうことは俺とメンテでチリーの争奪戦になる訳なのか?このいけ好かない奴とマッチアップなのか?俺はその事を再認識し、再びチリーに話し掛けようとする。


「あんた、どれくらいのレベルなんだい?」


俺とチリーの仲を引き裂く様に、女戦士ドーアが俺に話し掛けて来る。正直、この女面倒臭いなと俺は感じ始める。


俺は、見た目がカワイイ子がいいんだ。お前など相手にしていないんだ、と心の中で叫ぶ。そして、俺は適当に答える。


「俺ッスか?スゴく強いッスよ」


ドーアの表情が一瞬曇る。さすがに俺の気の乗らない態度に気が付いたらしい。


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