第37話 カミヤ国
何十年ぶりかの再会に五人の魔王は意気揚々としている
「久しぶりだな」
「ざははははは、ロキは相変わらず背が伸びておらんな」
「殺す」
「落ち着いてください、ほら深呼吸ですわよ」
「あーまたか」
不死者の大王 カザリス
獣人の大王 ダグラム
龍人の大王 ロキ
森妖精の女王 エミル・レフィーヤ
そして私が吸血鬼の女王 ルミナ・スプレッド
ほんと面倒くさい奴ら。そんな事よりスグルが心配
「では、私、エミル・レフィーヤが今回の司会を務めさせていただきますわ」
この五人の中なら彼女が一番の常識人だろう
「あの、会議の前に一ついいかしら」
「どうぞ、ルミナさん」
「私の国は民もろとも消えてしまった。だからこの場で私達の新しい国 カミヤの建国を宣言するわ」
スグルやみんなを認めてもらう為にも国を作らなければならない。まだロキ以外にはスグル達のことを内密にしている。そのため建前は私と爺やだけの国ということになる
「では皆さん、異論のある方は挙手を」
「・・・」
「賛成多数で可決となります。おめでとうルミナさん」
「ありがとうエミル」
「それでは早速議題に移ります。えー議題は大予言にある第二のパンドラ対策で────」
一方その頃スグルは気を失ってしまったためロキの仲間に治療されていた
「どこだここ・・・」
目を覚ますと身に覚えのないベッドの上にいた。そして、身に覚えのない部屋。一体何が起きたのか記憶が飛んでいる。確かリオさんに会って・・・・
「おはようございます。よく眠れたかなー」
「え、誰」
当然、横から黒髪でボブカットの女の子に囁かれる
「私はロキ様の配下のナナだよー」
顔が近い近い。キスでもしてくるのかと言わんばかりの距離だ
「わぁ、わたくし・・スグルと申しますっ」
ひゃい
「急に何するんですか」
いきなり手刀で横腹を突かれた
「面白そうだったからつい・・・」
可愛いいいいいいい
「全然気にしないでください。なんなら─」
ピーピー
「スグル、これはなんの音なのかなー」
スグルの下心に警鐘を鳴らすかのようにポケットにしまっていた携帯電話が鳴った
「いやぁ、気にしないでください。それよりトイレ借ります」
おい、なんてタイミングで連絡してくるんだよアリス
「お部屋を出て突き当たりを右に」
「ありがとうございます」
いったい何の連絡だろう
「もしもし」
「あっ、お兄ちゃん。そっちは元気にしてる」
「まぁ一応」
「ところで、変な女の人について行ってないでしょうね」
「変の基準が分からないけど、特には」
「ふーん、まぁ体には気をつけて頑張ってね」
「はいよー」
これだけか。アリスが俺のこと心配してくれるのはありがたいけど
「俺ってもしかして監視されてる?」
いやぁ、さすがにないか。女の勘は馬鹿にはできないな
「では、今日の会議はこれで終わりますわ」
エミルの言葉を機に会議は終了した。もともと話す気もない魔王もいたが順調に話が進んだ。そしていくつか重要事項も決まった。また大きく時代が変わるのね
「おい、ルミナ」
「なにロキ?そういえばスグルの件どう責任取るつもり?」
少し、いや結構腹が立っている
「あの人間を俺に見せたのは、俺が認めると思ったからだろ」
「そうよ、他には内緒にしているもの」
ロキは人間への寛容があると知っていた
「じゃあ何であんなことしたの」
「周りには国民もいた。王としての体裁だ。ただ予想外の展開には驚いた」
それにしてもやりすぎでしょ。スグルにもしものことがあったら・・・
「あの人間をしばらくこちらで借りたい」
「は?冗談やめてよ」
「本気だ。その代わり、俺の配下をそちらに貸し出そう」
条件なんて関係ない。アリスが聞いたら絶対に怒る
「無理ね」
「攻められた時は戦力を貸すこと、お前の国の人間を認めること。この二つも条件として加えよう」
「ちょっと待って。まだ考えさせて」
ロキの力を借りることが出きるのは大きすぎる
「分かった。その代わr──」
「ロキ様。大事なお話が」
言葉を遮るようにロキの雑兵が一人乱入してきた
「なんだ」
「ナナ様と人間が部屋から姿を消しました」
ええええええええ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます