第23夜 吸血衝動 Ⅰ
今は真上に日が昇り、少し暖かくなってきた。大体の部屋はカーテンを開けて、太陽の光を部屋のなかに取り入れている。その中で一部屋だけカーテンを閉めきり、他の部屋と隔離された部屋があった。
「見つけた」
インバシオン王国の城の敷地内にある三つの塔、そのうちの一つに冥朗は向かった。
「奇炎、いる?」
─***─
「やっぱり無理してたんだね、奇炎」
冥朗の目の前には息が荒く、正気をほとんど保っていない奇炎がいた。部屋の中は散らかっており、まるで獣が入ってきて荒らしたみたいだった。
「…………めぃ、ろ……」
正気の沙汰じゃないな。奇炎の瞳はいつもよりも色濃い緋色だった。いつもより症状が重いのか……。
「無理しないで良いよ」
冥朗はそう言って首もとの服の
「…………っぃ……」
さっきよりも強く噛まれて反射的に体が反応する。ぼーっとしてきた頭で冥朗は昔のことを思い出していた。最初に僕たちが奇炎と会ったとき、奇炎は血に
「……すぅー……すぅー…………」
「……寝ちゃったか」
奇炎にブランケットをかけ、少し離れた窓際の椅子に座る。冥朗は座ると一気に脱力して頭を押さえた、……貧血である。話を戻そう、そんな強くあまり人間と合間見えない種族である吸血鬼の奇炎が何故、ボーオ村に来たのか。理由は簡単だ。吸血鬼の王国から追放されたのだ。奇炎によると爵位を剥奪され、親は処刑、そして奇炎は国から追放された。この話をするとき、奇炎は「別に関心持たれてたわけでもなければ、逆に要らないもの扱いされてたし、ざまぁねぇな、って感じかなぁ~」とへらへら言ってはいたが実際、寂しかったのだと思う。奇炎には弟がいたらしい。名は
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