第13夜 気づいてしまった感情 Ⅰ
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ……。湿った森の中、リズムの良い馬の足音だけが森の中に木霊している。俺は土朗と共に咲真家への道を急いでいる。風朗は無事だろうか、炎朗兄様はいったい何を考えているんだ。心の中の不安を奥に押し込めながら、大切な弟とあの子たちのことを考える。三瀬帰先輩、寿々音先輩、青樹、緑樹、奇炎、そして冥朗。先程、賊の目撃情報が咲真家であり、ボーオ村の生き残り6名が暴れているとの情報があった。そして、冥朗達の目撃情報も……。そんなことを考えていると、土朗の馬の脚が止まる。
「……?どうしたんだ、土朗」
「………………」
土朗からの返事は無かった。だが突如として俺の馬が暴れだした。
「どうしたんだ、落ち着け」
「……兄さま、ごめんなさい」
馬をなだめている俺に対して、そう言って振り向いてくる土朗の額には……
「土朗、お前……」
「我々の野望のために死んでください」
黒百合の紋章が浮かび上がっていた。王家にかけられた黒百合の呪い。黒百合は2つの花言葉があって、1つ目は「恋」もう1つは「呪い」だ。
***
呪いの原点は遥か昔、ニージオ帝国の王子、
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