第7夜 襲撃者の正体…… Ⅱ
「……多勢に無勢なら退け、それが戦いだ」
そう言って振り向いたフクロウの仮面を被った謎の人物の黒曜石のような瞳は、何処か寂しそうだった。
「ど、どうしたの冥朗?!急に飛び出して」
「あ、ごめん。ついつい弟くんが昔の私に見えちゃってさ……」
「冥朗……」
な、何が起きたんだ……?まず、あいつらの前に俺が出たよな。それで体勢を崩して……。そっか、助けてもらったのか。
「そこの自称王子のフードを被った、そこの君達」
「え、俺達?」
「うん、そう君達。危ないから僕の傍から離れないでね」
僕……?そう言った人間の匂いはメスなのに一人称が"僕"だった。
「あ、あの……兄を助けていただいて、ありがとうございました」
「……いや、君も怖かったのに良く頑張ったね。偉いよ」
そう言って、不思議なその人間は弟の頭を撫でる。そして相棒みたいな人間はオロオロしてる。……こいつらは味方、なのか?まぁ良い俺らを狙いに来たのなら、疲労したところを叩けば……。
「……僕達は貴方達の敵では、ありません」
「?!」
心を読まれた……?何故だ、心を読む種族は妖精、悪魔、天使のみのはずだが。確か人間にもいたが、そいつらの村は滅んだはずでは無いのか?そう色々考えていると、メスの匂いがする奴がフードを取った。黒い髪に、黒曜石のような瞳……。
「僕達は"ナイト・アウル。君達に危害を加えることはない、安心しろ」
「……ナイ、ト・アウル」
夜行性のフクロウ?ニージオ帝国を騒がせているという、あの?黒い髪の人間はそう言った後、密売人の前に一瞬で現れて次々と密売人を倒していった。すると2人の人間が、暗闇から突如現れる。今まで気配も匂いも無かったのに……。
「派手にやったね、冥朗」
「俺達も戦いたかったなぁ~、なぁ青樹」
「我が儘は駄目だよ、緑樹」
密売人は気を失った状態で、木にくくりつけられた。俺からみると、ざまあみろってんだ。
「で、王子様達は何をしに来たのかな?」
「へっ?!あ、俺達は密売人の情報を兄ちゃん達が持ってたから、とっちめてやれば兄ちゃん達に褒めてもらえるかなって……」
「……馬鹿!」
「そうだよな馬鹿だよなって……馬鹿?!」
馬鹿だなんて人生で初めて言われた。家族にさえ言われたこと無いのに。
「馬鹿じゃねえだろ!」
「いいや、馬鹿だね。作戦も立てずに堂々と敵の前に立つ馬鹿が何処にいる!家族を悲しませたいのか!」
「うぐっ、……それは」
反論したいのに言葉が出ない。こいつが言っていることは正しいんだ。だけど……
「……くっそおぉぉぉ!」
そんな誰かの声が街中に響いたという。
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