第81話 避けられない最強
「そろそろ発表か……」
「ど、どうなるんでしょうか……」
俺と雪奈は昼休みに学校の屋上で、発表の瞬間を待っていた。
お互いに緊張で、少し武者震いをしていた。
再来週のアジア予選、この振り分け次第で世界大会に行ける難易度は変わる。
正直EPR(グランディネアのチーム)、ROSE(マリベルのチーム)、あいうえとは予選で当たりたくは無い。
もちろん全チーム負けるつもりは無いが、当たるなら本戦がいい。
「来たか……」
13時ちょうど、俺のスマホにメールが1通届いた。
(頼むから彩音たちとは予選で戦いたくない……)
俺は心の中でそう思ってメールを開くと、そこには運営からのグループの区分けが記載されていた。
以下略称。
Aグループ『EPR』『DRKG』『UPG』『K&K』『PZDE』
Bグループ『EGC』『SKY』『FMG』『WDE』『SVRG』
Cグループ『ROSE』『4T』『T&G』『LPG』『RLE』
Dグループ『AIUE』『KGD』『POP』『AJG』『TOE』
(あいうえの表記が英語なの、なんかジワるな……)
俺たちはBグループ、対戦相手はSKY(スカイ)、FMG(フルメタルゲーミング)、WDE(ワンダーEスポーツ)、SVRG(サブリミナルゲーミング)の4チーム。
彩音たちはDグループに決定したのでアジア予選では戦うことはないみたいだ。
(俺たちはグランディネア、彩音たちはマリベルか…… )
ただ、俺たちはアジア最強のグランディネアがAグループだったので、ほぼ確実に勝ち上がるあいつらと戦うしかないらしい。
「とりあえず彩音たちとは別リーグだから、やり合うのは世界大会の時か…… なんか一安心」
「そうみたいですね、ただ前に悠也くんがやられたグランディネアさんに勝たないと世界大会にはいけないと……」
「まあリベンジするいい機会だ、前向きに捉えよう それに前回と違って今回は雪奈や可憐、レインがいるからな」
雪奈は俺の方を見て、ニコっと笑った。
「私のこと、頼りにしてるんですか??」
「そりゃ仲間だし当然だろ、それに雪奈のスナイパーの精度が前よりも上がっている気がするしな」
「あ、バレちゃいました?? 実はみなさんがいない時もこっそり練習してるんですよ」
「なるほどな…… というか今更だけどよかったのか?? スナイパーなんてミッション消化の時しか使うことないのに任せちゃって」
先月からアサルト2、サブマシンガン2の構成をやめてアサルト2、サブマシンガン1、スナイパー1の彩音たちと同じ構成にした。
以前の遠距離を捨てた、近距離特化の編成。
これなら彩音やグランディネアといった強者にもタイマンを仕掛け、負けてもレインに託す形なら勝てると踏んでいたが、この間の彩音の配信を見るに俺のキャラクターコントロールを真似した動きをマスターして近距離のレベルが格段に上がっていたのを知り、返り討ちになる可能性や有栖ちゃんをフリーにするリスクが高く感じたのでおとなしく安定型を使うことにした。
そのためサブマシンガンのレインをアサルト、アサルトの雪奈をスナイパーに変えてもらった。
可憐はアサルト確定として、レインをそのままスナイパーにしようとも最初は考えた、でも経験の差やフィジカル面を考慮するとレインの方が実力は上なので、ほとんど未経験で申し訳ないけれども勝ちに行くため雪奈へ頼んだ。
役割変更後、何1つ文句を言わなかったので問題ないとは思うが一応心配で聞いてみることにした。
「いえいえ、全然楽しいのでいいですよ!! それに…… えーちゃんと同じ役職だから、今度2人っきりで練習します!!」
雪奈はニヤニヤしながら俺に言った。
「有栖ちゃんには俺の方から断るようにって伝えとく」
俺がそう言って携帯を手に取ると、雪奈は俺の肩を両手で掴んで俺の全身を前後に揺らした。
「冗談です!! 冗談ですって!! 手を出したり盗撮したりしませんから、それだけは勘弁してください〜」
「ぐえ…… ぐぅ…… 酔うからやめろ…… 飯食った後だしゲロ吐く……」
彩音と母さんが作っていた弁当が出そうになった。
「あ、すいません……」
雪奈は俺が苦しいことを伝えると、手を離してくれた。
「げほっ、でも有栖ちゃんは世界レベルのスナイパーだ 確かに彼女のスキルを身につけることで成長すると思うから、手を出さないって約束するならいいよ」
「本当ですか!!」
「うん」
「ぐへへ…… わかりました、私最強になってきます!!」
「本音が出てるぞ……」
そんな会話をしていると、可憐とレインからグループチャットにメッセージが来た。
『彩音ちゃんたちとは決勝みたいだね〜』
『まあ予選で潰し合うみたいにならなくてよかった』
『YUU、ディネアに勝機はあるのか??』
『今の俺たちなら5割はあると思う、残りの2週間でやれることをやろう』
『うん〜』
『そうですね!!』
『やるしかねぇよな』
そんなチャットをしていると昼休み終了5分前のチャイムが鳴り、俺と可憐は急いで教室へ向かった。
※後書き
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