第70話 あの日から全て変わった
「すげぇよレイン、これで20連勝だ!! 僕たち最強のチームだな」
「いいかお前ら、俺についてくれば確実に勝てる 勝ちたい人間は俺に従え」
ラグナロクフロンティアサービス開始時、俺たちのクランは最強だった。
当時はランキング戦や各国のサーバーがない状態でまだまだ発展途中といった環境ではあったが、俺たちのクラン『ガンラウンズ』はSNSで有名なクランで、メンバーは100人以上で俺はそのクランのリーダーをしていた。
「世界1、とれるんじゃないすか??」
「まあ俺の指示通りに動け、お前らにふさわしい称号を持ってきてやる」
「かっけぇ〜 さっすがリーダー そういうワイルドなところ憧れるわ〜」
俺たちは最強だと思い込んでいた。
確かに当時、覇王と呼ばれるNA(北アメリカ)のLarry(ラリー)やその仲間のCAP(キャップ)、MIND(マインド)、squirrel(リス)は当時から別次元の強さだったが、ランキング戦がサービス開始するとラグの関係などで日本はAPAC NORTH(アジア太平洋北部)のサーバーに分けられて、Fightersのメンバーとはプライベートルームでしか戦うことがなくなる。
なので、今現在の全世界共通サーバーでは天下は取れないけれども、APAC NORTHサーバーだったら俺たちでも希望がある。
「グランディネア、マリベル この2人がAPAC NORTHの強豪か…… まあ俺たちなら勝てる」
そんな感じに俺たちのクランは順調で、日本最強になれると思っていた。
だが、ランキング戦が始まる1ヶ月前に試験的にサーバー分けをされた後のAPAC NORTHサーバーでカジュアルマッチを俺+幹部3人でしていた時に事件が起きた。
「相手は…… KAREN?? 見た感じソロですね、リーダー」
「結構可愛いじゃ〜ん 俺たちのクランに誘うか??」
「この試合を勝てば30連勝 暫定日本1位のクランになれますよ!!」
幹部の3人は、この試合を勝てば日本最高連勝記録を更新するということもあって盛り上がっていた。
「いいか?? 油断はするな、絶対に勝つぞ」
「「「はい!!」」」
この時の俺たちは知らなかった。
まさか1人の少女に最強クランと呼ばれている俺たちが完膚なきまでに叩きつぶされるとは……。
「……はぁ、嘘だろ……」
1ゲーム目、当時は陣取りモードで時間内にエリアを守り切ることができれば勝ちというモードだが、彼女はサブマシンガンを持って俺たちが守っていた場所に単独で突撃し、気がつけば俺たち4人の体力は0になってしまった。
2ゲーム目、改造ツールを使っていると思って通報するも、検知に引っかかることがなかったので一般プレイヤーだと確定する。
前回やられた原因は一箇所に固まりすぎたことだと思い全員ばらけて集合することにするも、気がつけば俺1人を残して全滅してしまった。
「……嘘だろ」
「……」
「だが、俺たちは負けるわけにいかねぇ 最高連勝記録がかかってるんだ」
俺はアサルトライフルを手に取った。
KARENの仲間の3人のプレイヤーが俺に襲ってきたので、俺はアサルトライフルを打ち込んで3人を一瞬で倒した。
「どうだ!! 残りはお前だ」
俺はリロードしたのち、KARENに特攻を仕掛けた。
「……あのさ、1ついい?? 隙だらけ」
俺が発砲しながら走ってKARENに1歩1歩近づくと、KARENは味方の死体を盾にして防ぎ、味方の持っていたリボルバーを腰のホルダーから抜き取ってスコープを覗くこともせずに俺目掛けて撃った。
放たれた弾丸は、俺の右足に直撃してライフが3割ほど削れて地面に倒れ込んだ。
「ぐぁあああ……!!」
「うっさい」
KARENはそう言って、俺が倒れているところ目掛けてサブマシンガンを発砲した。
俺の体力は奇跡的に1ミリだけ残ったが、全身に弾丸を受けて腕や足を失ってしまったので反撃することもできない。
「……お前、何者だよ」
「何者って…… ボクはただの人間だよ」
「いやそうじゃねぇ、お前クラスのプレイヤーがいるなんて知らなかった いつか超えてやるから待っとけよ」
「あっそ」
俺たちはKARENに負けたことで、30連勝の夢が消えた。
後々調べると、彼女は覇王ラリーが注目しているソロプレイヤーでシーズン初期に100連勝しているということがわかった。
この情報を知った時、俺は嬉しかった。
彼女のような、圧倒的な実力を持つものこそが世界を手にする。
俺はそう確信し、日本1メンバーの多いクランを解散し実力主義のチームを作った。
KARENさんも招待したが、当然返信は来なかった。
そしてAPAC NORTHのサーバーがサービス始まってからしばらくして、俺たちのチームでランキング戦アジア1位を狙うと決めたシーズンの時、KARENさんもランキングをしていた。
相変わらずソロでの圧倒的な勝率で1位のKARENさん、新人の動画配信グループだが強すぎるあいうえクランや、タイマン最強と呼ばれるソロのYUU、俺たちのチームで拮抗するランキング。
だがKARENさんは、2週目にランキング戦を諦めた。
※後書き
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