第57話 予想を超えた実力

 疑問を抱きながらも、俺と雪奈は期間限定モードを始めた。

 マップは密林地帯、自然豊かなマップで高低差のあるマップだ。


 俺は武器購入画面で、なんの武器を使うか悩んだ。


「雪奈さんはなんの武器を使いますか??」


「私はアサルトライフルを買います!! 悠也君はなんの武器にするんですか??」


 雪奈はアサルトライフルを買うと俺に言った。

 野良の味方はアサルト、スナイパーでサブマシンガンがいなかったので俺はサブマシンガンを購入することにした。


「俺はサブマシンガンにした、最近ハマってるし」


「私サブマシンガン苦手なので助かります!! なかなかバランスの取れたチームになりましたね〜」


「ん、ああ…… そうだな」


 そんな話をしていると、試合が始まった。

 俺たちは東側のスタート地点にいた。


「ん〜 どうします?? 悠也くん」


「まあ、前進あるのみっしょ!!」

 

 俺はいつもの癖でサブマシンガンを持って、敵陣に突っ込んでいった。

 そんな俺の後ろを雪奈がついてきた。


「ちょっと!! 作戦とかってないんですか??」


「カジュアルモードだし、まあ楽しくやろう!!」


「そうですね!!」


 雪奈は乗り気で俺についてきた。

 味方の野良2人も、必死に俺たちについてきているが結構離れている。


 少し歩くと、そこには2人の敵が木の上にいた。

 俺は何も考えず、敵に突っ込む。


「悠也君、そこ2人いますよ!!」


「まあ、見てな」


 俺は自信満々に言った。

 敵2人のアサルトライフルから発射された弾丸を避けて、俺は敵2人を倒した。


 俺が2人をボコボコにしたところをみて、雪奈は驚いていた。


「悠也君、上手いですね」


「ふぅ…… 残りは……??」


 俺が残りの敵の場所を確認するが、敵の姿は見えなかった。


「左の崖上、それに岩の裏に1人います!!」


「……ん あ、本当だ」


 雪奈に言われた方向をよく見ると、確かに小さく敵の姿が見えた。

 アサルトライフルに標準で付いている2倍スコープでも見えず、スナイパーライフルでしか見えないであろう距離にいる。

 言われるまで俺は気づかなかった、それに向こうも俺が倒したことで戦闘態勢になった。


 俺はサブマシンガンを持って、突っ込もうとした。


「私もキルしたいです!!」


「了解、なら俺が援護するよ」


 俺が無双するだけじゃ、せっかく一緒にやってくれている雪奈に申し訳ないので俺は援護することにした。

 それになんだか、雪奈は相当上手いと感覚で分かったので見てみたい。


「ということで、レッツゴー」


「おう」


 雪奈を先頭に、俺たちは敵のいる方向に行った。


「んじゃあ、援護お願いします!!」


「任せて」


 俺は少し離れた位置から、敵に目掛けてサブマシンガンを放った。

 距離減衰でダメージが下がって、もはや打つ意味もそんなに無いが敵のヘイトを俺に集めることが目的だ。


(この動き……)

 

 雪奈は俺との距離をとって、しっかりと別方向から敵に距離を詰めていた。

 これが偶然なのか、または意識しているのかわからないけど、もしも意図的にできているのなら、かなりの実力があると言えるだろう。


 というのも、俺に敵が集中しているのにも関わらずに他の味方も同じ位置にいたらなんの意味もない。

 同じ場所にいたら、奇襲を仕掛けるためのチャンスを作った機会を潰すことになる。


 実際にFPS初心者や中級者でも、この展開する動きを理解できて初めて上級者になれると俺は思っている。

 

 

 俺が敵に向かって、グレネードやサブマシンガンでヘイトを集めているうちに雪奈は敵の近くまでくていた。

 雪奈は大きな岩に隠れず、岩よりも敵との位置が近い場所にある木の裏に行ってからアサルトライフルを手に取った。


(……いいね)

 

 岩裏と木の裏だと確かに岩裏のが安全であるが、アサルトライフルの距離減衰や敵が初撃をくらって逃げることも考えると一歩前に出た方がいい。


 雪奈はアサルトライフルで、1人撃破して残り1人も瀕死くらいまで体力を削った。

 最近彩音や可憐をみて感覚がおかしくなってきているが、これだけエイムが良ければトップクラスだ。


「とりあえず1キル、追いかけます!!」


「了解」


 俺は全力で逃げる敵の足元目掛けて、サブマシンガンを打ち込んだ。

 そして倒れた敵目掛けて、雪奈が追い討ちを仕掛けて敵を全滅させた。

 

「うまくいきましたね!!」


「ナイス〜」


 俺たちはハイタッチして盛り上がっていると、残り2人の味方が陣地を確保していたみたいで、勝利となった。


「それにしても、悠也君って上手いですね!!」


「ん…… まあね〜 っというか雪奈も普通に上手いな、ランクどこ??」


「ん〜と、今はグランドマスターですね…… 最近はモチベがなくなったのでランキング戦をなかなかやってなくて……」


「え……」


 予想通り、彼女は最高ランク帯の人間だった。

 それにランクリセットで2ランク下がってから、そんなに時間が経っていない。


「前回は……??」

 

「一応、チャンピオン43位でした」


 雪奈はそう言って、ドヤ顔をした。


「……はい??」

 

 予想以上で最初は理解できなかった。

 雪奈はアジアプレイ人口0.1%のうちの上位43位、つまり俺や彩音と同じ場所にいた。




※後書き

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