第35話 病室で出会った白髪の少女
「次は船橋、船橋〜 お忘れもの、落し物に注意してください 右側のドアが開閉致します ドア付近のお客様はご注意してください〜」
「むゃむゃ…… はっ……」
電車の放送で目を覚ました。
昨日の夜、早めに寝ようとお風呂に入って歯を磨いた後ゲームをすることなくベッドに直行したが、緊張と興奮でほとんど眠れなかった。
俺は電車から降り、自動販売機でアイスコーヒーを買った。
時刻は10時30分、昼頃と言っていて具体的な時間を決めていなかったが丁度いい時間に着いたと思う。
俺はスマホを改札にかざし、駅を出た。
(なんか緊張してきたな……)
俺は憧れの最強プレイヤーのラリーにこれから会えるということで緊張してきた。
どういう意図があるかわからないが、会えるだけで俺は嬉しい。
駅から5分ほど歩くと、そこには待ち合わせ場所の総合病院があった。
少し早いような気がするが、具体的な集合場所を聞いていなかったので俺は病院の外を探索することにした。
「こんにちは、あら若いお兄さん お見舞いかしら〜」
俺が散歩道のような所を歩いていると、杖を曳いているおばあさんに話しかけられた。
「こんにちは、えーっと、まあ そういう感じです」
「あら、そうなの〜 さっき見かけた外人さんのお知り合いかしら??」
「多分そうですね、ちなみに方はどこにいましたか??」
多分ラリーのことだと思い、おばあさんに場所を尋ねると病院の裏側の方に指を刺した。
「こっちの方だったと思うわ」
「ありがとうございます、では失礼します」
俺はおばあさんに感謝を伝え、病院の裏側に向かって歩いた。
俺は病院の裏側に行くと、噴水やお花が生えている公園のような広場があった。
俺は当たりを見回すと、自動販売機で缶のコーンスープを購入している身長の高い男性がいた。
「I see, it's the first time I bought it in Japan, but it's a pretty interesting drink(なるほど、初めて日本で購入したがなかなか面白い飲み物だ)」
「あっ……」
俺は画面の向こう側に写っていた憧れの人だとすぐに理解し、走って自動販売機の前に行った。
「げほっ…… えっと、I'm YUU, nice to meet you」
俺は体力切れで息を上げながらも、中学校レベルの英語力のでラリーに伝えた。
ラリーは俺の言葉を聞いた瞬間、笑いながらもスマホを出した。
ラリーが英語で話した数秒後、何やらスマホから音声が聞こえてきた。
「初めまして、YUUくん!! 出会えて光栄だよ!! 最近のAIはすごくてね 自動翻訳で左耳のイヤホンに流れ、俺が英語で話した後に、俺を声や内容を解析して日本語に変換できるんだ!! だからの日本語で話してもらっても大丈夫だよ」
「わかりました よ、よろしくお願いします」
俺が緊張し、声が震えているとラリーは軽く俺の背中を押した。
「何も緊張しないでもいいよ 君はアジアで最も期待している選手なんだからさ!!」
俺はラリーにそう言ってもらえて、嬉しく思ったのと同時にスクリムで大敗したことが頭をよぎって少し辛くなった。
「ありがとうございます…… でも昨日のスクリムは大敗でした……」
「まあ仕方ない そんなこともあるよ」
俺はラリーになぐさめられ、少し楽になった。
「次は頑張ります…… それよりなんでラリーさんは僕をこの病院に呼んだのですか??」
「それは君に合わせたい人がいるからさ、ついてきて〜」
俺はラリーと共に病院の中へ入って、受付の窓口へ向かった。
ラリーと受付を済ませ、俺たちはエレベーターで5階に行くと病室があった。
ドアの前にはネームプレートがあって、『天草可憐』と記載されていた。
(天草可憐…… てっきり外国人とかだと思っていたけど、日本人なんだ……)
ラリーはノックしたのち、扉を開けた。
扉を開けるとそこにはベッドに横になっていて、窓の外を見ている少女がいた。
真っ白な髪色のショートヘア、年齢は俺と同じ年くらいに見える。
そして体の上についているテーブルにはキーボードとマウス、ヘッドホンがあり、少し離れた場所にはモニター、ベッドの真下にはゲーミングPCの本体があった。
俺は病院とは思えない異様な光景を見て、おもわず口が空いてしまった。
(え??)
俺がポカーンとしていると、少女は体を起こして口を開いた。
「君がYUUさん??」
「はい、そうですけど……」
俺が彼女にそう伝えると、彼女は拍手をした。
「ボクは、君に会いたかった」
「……??」
俺は彼女が誰かわからずにいるとラリーが口を開いた。
「ねえ、YUU 君はアジアランキングで2位になった時 最初の週からやっていた??」
「はい!!」
「なら最初の週に、1位だった人を知っているかな??」
「はい知っています、確かハンドルネームは…… KAREN……」
「やっほ〜」
彼女は俺がハンドルネームをいうと、ドヤ顔をしながらゆっくりと手を振った。
『KAREN』、俺や彩音の走っていたランキングの第1週にソロでありながらソロで勝率98%、俺や彩音を超える勝率で全世界が注目したが、突如2週目から姿を消した謎の少女の名前だ。
※後書き
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