第33話 自分のこと最強だと思っているだろ??
4Tとの試合の後、俺はメンバーとなんやかんや和解をした。
「まさか あちゃんのファンだとは知らず、すみませんでした……」
「すみません…… 僕もいいすぎた……」
スパイダーとPASERIの2人は申し訳なさそうに俺に謝罪をした。
「いや、俺も頭に血が登ってすみません…… 反省してます」
俺が謝ると、3人はあははと笑った。
(いや、笑い事じゃないが?? 次言ったらほんとにボコボコにするか……)
「それにしても強すぎやん、YUU!!」
「いや、まだまだですよ…… まだまだ…… 届かないんです……」
確かにさっきプロ相手に1人でボコボコにしたが、彩音1人には及ばない。
俺が悔しそうにいうと、次の対戦カードが発表させた。
「ッ……」
俺たち4人は対戦時カードを見た瞬間、会話が止まった。
対戦相手は『エンペラー』前年度APACリーグ1位抜け、アジアで最も強いチームだ。
「嘘だろ…… まさかラスボスか……」
「これはしんどいな……」
「勝てる気がしない……」
3人は絶望し、顔が真っ青になっていた。
ただ、俺はだけは表情を変えなかった。
確かに彼らのチームは前年度アジアプロリーグ1位、そして世界大会で総合4位という好順位、圧倒的に強いチームだが俺には勝つ自信があった。
(彼らが強いのはわかる、だがあの彩音と互角に渡り合えた、それに下位チームとは言えプロ4人を圧倒した俺とこのメンバーなら勝てないにしても、そこそこいい勝負くらいはするだろう……)
俺はチャットアプリで、先週の敵チームの配信を共有した。
「彼らはSMG2人、アサルト2人の近距離戦タイプなので今回はスパイダーさんの、ルームトリック作戦を使います」
スパイダーの編み出したルームトリック作戦は、相手を1人が誘導し残り3人で奇襲を仕掛けるという、まさに蜘蛛の巣に獲物を誘い込む戦法だ。
「よしきた!! なら囮は足が早いクローズで、残りの俺たちはポジションで待ち構える感じでいくぞ!!」
スパイダーの作戦はプロシーンでおそらくだが使ってるのを見た事が無い、初見殺しならナンバーワンにも勝てると思い俺たちは準備完了のボタンを押し、戦場に足を踏み入れた。
試合が始まった、俺たちは西側のスタート地点にスポーンした。
マップは高層ビルの建ち並ぶニュータウン、世界大会でも選ばれてる人気マップであり、相手チームの得意マップで少々やりずらいが、ランダムで決まっているので仕方ない。
「とりあえず、最初に2人誰でもいいから引き付けて3人で奇襲を仕掛ける 俺たちは駅の隣にあるビルの2階で待ち構えるので、クローズさんはここの通りを通って来てください」
俺はマップをクローズに見せ、細かく動きを確認した。
「了解!! んじゃあ、行ってくる」
クローズはそう言ってサブマシンガンを持ち、敵のスポーンしたであろう方角に進んで行った。
「んじゃあ、俺たちは配置について待つか!!」
「そうだね…… とりあえずYUUは、階段の上……」
「ぐぁっ……」
「「「……ッ」」」
囮で敵陣に向かったクローズの体力が一瞬で消滅し、ボイスチャットからいなくなった。
俺は直感でこの場に居たらまずいと思い、アサルトライフルを持ってビルの2階から飛び降りた。
飛び降りた瞬間、アサルトライフルでスパイダーとPASERIの2人がヘッドショットを受け体力が消滅した。
「は??」
「嘘だ……」
2人の体が消滅し、ボイスチャットから消えて俺1人だけになってしまった。
弾丸の飛んできた方向を見ると、チームリーダーのグランディネアがアサルトライフルを持って立っていた。
俺のアバターより少し高く、黒髪のセンターパートにピアスが両耳に刺さってる青年は動画で見た昨年のアジアリーグを制したチームリーダー『グランディネア』だ。
「よぉ プロリーグ参戦おめでとう」
「……」
「なんか言えよ、俺は素直に褒めてんだぞ…… あれか??お前の仲間も寄せ集めとはいえ、アジアランキングで高順位、こんな一瞬でやられるなんてありえないとか思ってるんだろ??」
「……」
心を読んでいるのか、グランディネアは俺の思っていることを言って俺は何も言えなかった。
「ハッキリ言ってぬりぃよ、こんな雑魚の寄せ集めでこのステージに来たってのか…… 笑わせる」
「仲間?? いや、こいつらはただの人数合わせだ…… 俺がお前ら4人を倒せばいいだけだろう」
俺はアサルトライフルをグランディネアに向けて発砲した。
グランディネアは銃をその場に捨て、俺の弾丸を腰のホルダーから取り出したサバイバルナイフではじき飛ばした。
俺や彩音でも狙ってやらない限り不可能に近い神業を彼は瞬時にして、格の違いを見せられた。
「……ッ」
「なんかガッカリした、所詮はこの程度か……」
グランディネアは俺の脇腹を蹴り飛ばした。
俺の体は吹っ飛ばされて、ビル横の駐輪場に倒れて俺は自転車の下敷きになった。
(まだ体力はある…… せめてこいつだけは倒す……)
「……まだ負けてない 」
「なんかお前、勘違いしてるようだから教えてやるよ」
グランディネアは自転車の下敷きになっている俺の体の胸ぐらを掴んで持ち上げて地面に叩きつけた。
「ぐはっ……」
俺の体力ゲージが残り1割程度になり、視界がぼやけてきた。
「お前は最強じゃねぇよ」
グランディネアはそう言って、地面に投げ捨てあったアサルトライフルを俺の全身に撃ち込み俺の体力は0になった。
俺は彩音以外の人間に、ランカーになってから初めて完敗した。
※後書き
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