第20話 話題の少年

 NA(北アメリカ)の最強チームに所属する、Larryは動画サイトで彩音の試合を見ていた。

 

「Larry, today is refresh day, but are you studying in front of your computer?(ラリー、今日はリフレッシュの日だけど、パソコンの前で勉強してる?)」


 上半身裸で髪が濡れている、チームメンバーのCAPはタオルで髪を拭きながらLarryの画面を見た。


「In the last ranking, I saw her move to the top in Asia, and she's doing pretty well(前回のランキングで、アジアの方でトップになった彼女の動きを見てたんだが、なかなか上手いぞ)」


 Larryはリプレイ再生ボタンを押して、彩音がエイムマンを倒したシーンをCAPに見せた。


「I'll do it, but even if they're number one in Asia, they're nearly three times as far away from us in overall points, so I don't think they're that much of a threat.(やるね、だがアジア1位と言っても総合ポイントは俺たちと3倍近く離れてるし、そこまで脅威とは考えられない)」


「Well yeah, but I think they're going to have a heated match with us at the world championships.(まあそっか、だけど彼らは俺らと世界大会で白熱する試合をすると思うんだよな)」


「The basis is?(根拠は)」


「It's intuitive(直感だけどな)」


 Larryがそう言うと、CAPは大きな声で笑った。


「Larry's predictions have a high success rate, so I won't let my guard down;(Larryの予想は的中率高いから、俺も油断しないでおくよ)」


 CAPはそう言って、肩に乗せていたタオルで頭を拭いて部屋を出た。


「It would be nice if we could have another hot match like last year's 1st World Tournament.(昨年の第1回世界大会のような、熱い試合を再びできればいいな)」


「Is she in Japan? Maybe I'll go see her for the first time in a while on the next holiday(彼女は日本にいるんだったか…… 今度の休日、久しぶりにあの子のところへ行こうかな)」


 Larryは後ろに飾っている昨年の世界大会優勝トロフィーを見ながら独り言を言った。



















「よし、やるぞ……」


 準決勝が始まった。

 今回のマップは密林地帯、植物の生い茂る自然豊かなマップだ。

 俺は有栖ちゃんがスナイパーの名手だとわかっているので、高い地形の場所を探すことにした。


「ここもいない…… 足跡がないから最初から来てないのか……」


 試合が始まって10分、このマップはそんなに広くないので探せばすぐに見つけることができると思っていたがなかなか見つからない。

 

(足跡がないし、石の破片が埋まってる地面を進んだ感じか……)


 俺は崩壊した遺跡がある場所にいそうだと言う予想をつけて、歩き出した。


「やっぱり、こっちだよな……」


 予想が的中し、靴の跡みたいになっていた。

 俺は周囲を警戒し、武器を構えた。


(射程を考えると、この辺で仕掛けてくるはず……)


 俺は姿勢を低くし、攻撃のタイミングを待つことにした。

 少し離れた場所で、草か植物がカサっと揺れたような音が聞こえた。

 

(来るっ……!!)


 弾丸が風を切る小さな音をが聞こえた。

 だが、音の高さを聞く感じ俺の頭上を通り超える。


 予想通り、有栖の放った弾丸は俺の真後ろに生えている木にぶつかって穴が空いた。

 俺はアサルトライフルを構え、発射地点をスコープで覗いた。



「ミスショットか?? 天才でも外すことあるんだね」


「違う…… これは新しい戦い方…… 見てろ〜」


 俺が有栖ちゃん目掛けて撃とうとした瞬間、木の上から何かが落ちてきた。


「グレネードか…… だが、どうせこんなことだろうと思ってたよ」

 

 俺はグレネードが落ちてきたと思い、全力で走って距離を取った。

 なんとなく直感的に、罠があると思い装備を軽くして移動スピードを上げていてよかった。


「えいっ……」


 有栖は腰に装備していたハンドガンを取り出し、グレネード目掛けて発砲した。

 俺はグレネードから距離を取っていたので、振り返って反撃しようとした瞬間グレネードから強烈な光が放たれた。


「うわっ…… まぶし……」


 閃光型のグレネード、先週のアップデートで追加された周囲の敵をスタン状態にして視野を奪う。

 装備購入ポイントも通常のグレネードより安く、汎用性が高いと評価されてる。


 

「まじか…… やられた……」


「さようなら、お兄さん……」


 有栖はスナイパーライフルを取り出し、俺の脳天目掛けて打ち込んだ。

 鋼鉄の弾丸は風を切り、ドンと弾丸が直撃した音は森の中に響き渡った。


 

 


※後書き

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