第18話 最強の名を持つ少女

 彩音はチャットアプリで宇佐見、美佳の2人で通話しながら大会の配信を見ていた。

 Aブロックの有栖から1回戦余裕で勝った^^と送られてきて、3人は笑っていた。


「あはは、有栖ちゃんらしいね〜」


「そうね、あの子は多分お兄さんとAブロック決勝すると思うわ」


「にいちゃんがんば!! いけ〜!!」


 3人が話ながら配信を見てると、映されていた悠也の試合が終わった。


「にいちゃんつよ!!」


「彩音ちゃんのお兄さん、水の写っているの相手を確認した瞬間に動かず油断したふりをする演技力…… さすがはソロ最強ってだけあるわね……」


 2人は悠也の配信でのプレイを見て盛り上がっていた。


「あやねんはどう思った??」


 宇佐見は彩音に質問した。


「ん…… あ〜ごめんね 試合に集中していて聞いてなかった…… もう1回言ってもらってもいい??」


「あやねん的には今のにいちゃんの動き、どう思った??」


 宇佐見が再び質問すると、彩音は今の試合のリプレー映像をチャット画面に共有した。

 


「お兄ちゃん、これ空中で動きが一瞬止まったから、設定画面を開いてキーボードの入力配置を変えたんだと思うんだけど、どうかな??」

 

 彩音がそう言うと、2人はリプレーをじっくりと見た。


「確かにそうかも…… パルクールのような複雑な操作を基本操作でやるのは不可能だし、人の限界を超えてるわね……」


「にいちゃんは普段、初期設定で操作してるから、あやねんのいうとーりかも!!」


 2人はリプレイを見て、悠也のプレイングに驚いて声が震えていた。


「やっぱりお兄ちゃんすごい…… でも私は負けないよ!!」


「その感じだよ!! あやねん!! いぶに負けないぞ〜!!」


「ええ、私たちもそろそろ始まるわ お互い頑張りましょ!!」


 3人はそう言ってアプリを消して、ゲーム画面に切り替えた。


「お兄ちゃん…… 絶対に負けない!!」


 彩音が準備をしていると、運営からのメールが届いた。


「あ…… 私が配信マッチなんだ…… 緊張する〜」


 対戦相手は前回ランキング4位の配信者で、配信サイトのコメント欄が盛り上がっていた。


「こんなところで負けない…… 頑張る!!」

 

 彩音は覚悟を決め、プライベートルームを作成した。









 








 俺の名前はエイムマン、前回ランキング4位の配信者だ。

 この大会では前回のランキングで俺よりも高順位だったやつを倒しにきた。


「相手は1位の『あ』いうて女の子配信者で4人組…… ソロなら勝てるだろ!!」


 前回のランキング戦、俺は朝から昼にかけての上位組と当たらない時間にプレーしていたこともあって動画でしか動きを見たことがない。

 だが、あちゃんは4人で協力するスタイル、個人技は流石に俺の方が強いだろう。


「あちゃんを研究したところ、SMG(サブマシンガン)使い…… なら中距離も戦えるアサルトライフルか、SMGを俺も使うかだな……」


 エイムマンはサブマシンガンを選択し、プライベートマッチを承諾した。

 マップはニュータウン、エイムマンは駅の中から始まった。


(駅中にスポーンしたか…… あちゃんはどこにいるんだろ〜な 早くぶっ倒してぇ〜)


 エイムマンはとりあえず、駅にある回復アイテムを回収しに向かった。

 ビル上から見える位置にあるので、慎重に周囲を確認したのち回復アイテムを回収した。


(いないな…… これ回収できただけで目の前で撃ち合っても体力差で負けることはないし、もしかして余裕??)


 そんなことを考えながら駅の中を歩いていると、後ろの方から足音が聞こえた。

 咄嗟にエイムマンは走り出し改札をジャンプして飛び越え、駅を出て距離を取った。


(もう来たか…… どこにスポーンしたのかわからんが、随分早いな……)


 エイムマンは背中に装備したサブマシンガンを取り出し、後ろを向いた。

 

(追ってきてるなら、ここから顔を出す…… どこにいる……??)


 エイムマンはスコープで自分の出てきた位置を見ていると、その位置からあちゃんの姿が見えた。

 

(ここだ!!)


 エイムマンはチャンスだと思い、サブマシンガンを放つ……つもりだった。

 

(は??)


 一瞬、何が起きたのかわからなかった。

 彩音の姿がスコープで見えた瞬間、自分の画面の左上にある体力バーが2割くらいになった。


 サブマシンガンを撃つことができなかった、エイムマンが自分の武器を構えている右腕を見ると武器が地面に落ち、腕は消滅してしまっていた。


「あっ…… あ…… え…… あっ…… う、そ……」


「選択ミスでスナイパーにしちゃった…… やっぱり、えーちゃんみたいに一撃では倒せないや……」


 スナイパーライフルを持った彩音が、歩いて近づいてきた。

 エイムマンが左腕で回復アイテムを取り出そうとすると、彩音は腰に装備していたナイフを取り出して投げてエイムマンの左腕に直撃させた。


「ぐああああああああああああああああ」


 体力ゲージが1ミリ程度しかなくなり、エイムマンの視界が悪くなった。

 彩音はスナイパーライフルの銃口をエイムマンの頭にくっつけた。


「ば、化け物がああああああああああああ」


「……」


 彩音は何も言わず、スナイパーライフルのトリガーを引いた。

 




※後書き

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